●概要
今回全3Pにかけて紹介する「宇宙の騎士テッカマンブレード」は1990年代に日本アニメ史に刻まれたハードSFアニメの名作。
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元となる「宇宙の騎士テッカマン」も騎士どころじゃない鋼鉄の魔人振りが凄まじい過酷な物語でしたが、今作の監督ねぎしひろし、シリーズ構成の関島眞頼&あかほりさとる たちがより凶悪なまでに練り上げた残酷な運命!初代とはまた違う凄絶な戦いが繰り広げられます。
どれほど目の前に絶望が拡がろうと立ち上がり続けた一人の戦士いや人間の生き様!
...なのですが制作現場がラダムに侵攻された地球並に混迷を極め、果てしなくバイオレンスでバラバラに砕け散りそうな作画無法地帯アニメとしても知られています。
●設定画キャラデザの違いについて
そもそも初代「テッカマン」の絵柄に寄せるか寄せないか以前に、主人公やヒロインと他登場人物のキャラデザが違うという時点で困惑もの。そのためキャラごとにタッチを変えるか統一するかで悩むことに。
最初は佐野がキャラデザを手掛けますが、多忙だった佐野(恐らくガンダム関連の仕事)は3名のみしかデザインできずそのため他キャラはTOlllO(藍葉)がデザイン。
湖川もインタビューで「いい思い出がない」とぶっちゃけていました。
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まずは
●ql(91/佐野浩敏)
Dボゥイ(Dボーイ)、アキ、ミリィ(ミリー)のみ。リアル寄りながら線の細いタッチ。
●TOlllO(藍葉古卯/湖川友謙)
劇中で双子設定なのにまったく似ていないのは設定画の時点で別人のため。
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ちなみに二宮常雄による初代の作画。
●二宮常雄
南城二、天地ひろみ、アンドロー梅田、天地宗蔵、テッカマン、ペガス。
時代を感じる奇抜なデザインさえ気にしなければ思う存分に物語への没入とアクションを堪能できます。
練りに練られたSF設定や世界観でしたが、早過ぎた作品故に人気が伸びず打ち切りへ...。
初代から原画で参加していた面々はこの「テッカマン」を意識したことでしょう。
まして初代参加組の湖川がデザインに関わっているとなればせざる負えないと言いますか。もう一度チャンスがあるならばリベンジしたい!無念を晴らしたい!最後まで完走させたい!
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そんなタツノコも全盛期に比べ力を落としていた時期で、その上制作現場のトラブルが重なり以前では考えられないような修羅場状態。
連続した物語が魅力でもあるこのシリーズは、作画のバラつきが大きければ大きいほど顔の違いが気になって視聴者の没入を阻害する原因にもなりかねません。
回を重ねるごとに前回のあらすじor回想が作画の博覧会状態になり、それで作画を気にするなという方が無理というもの。
参加した面々こそ第一線で活躍してきた百戦錬磨のアニメーターが多いだけに、現場の混乱でここまで作画に違いが生じるのかと恐ろしくなります。
主役ブレードのデザインも放送1ヶ月を切ったところでようやく決定という信じられない状況。
なんせ放送開始前に第0話「長き戦いの序曲」という初代「テッカマン」の紹介、
OPや第1・2話の一部を使い「ブレード」のあらすじ、
武器・用語・登場人物の紹介、企画時のラフスケッチ、
本編と一部色が違う設定画...と2話は動画で流れるのに肝心の1話がほとんど映らず制作が追い付いていなかったんだろうなという内容で1週間稼いだくらい。作画より現場が崩壊寸前。
その後も総集編を4回も挟んだり常に極限状態。
ココでしか明かされない重要な情報や各キャラの視点で振り返りつつ話を整理できるので見逃せない回ではありますが。
ただ顔つきこそ似せる気は皆無ですが、「ブレード」も次世代を思わせるクオリティの高い回、アクションもバンクは多々あれ限られた制約下で工夫を凝らし、動くときは腕利きアニメーターたちが佐山善則&中原れい たちの磨き上げたメカを宇宙から地球上まで駆けさせる。
それでは全49話に参加した19名の作画監督を紹介。
●佐野浩敏
担当:41話のみ。「カウボイービバップ」等でも紹介。
主にメカで知られる佐野ですが今回はキャラクターデザイナーとしての一面も知れます。
唯一の作画回はOVAと見まがうほどの作りこまれた繊細な線による美麗な画と動きで今作随一の仕上がり。
激闘後のつかの間の安息と新たなる問題の浮上、再び現れる宿敵との次なる戦いの始まり...。
...なのですが他作画とあまりにかけ離れた絵柄で今作に慣れようと必死に自分に言い聞かせてきた視聴者の魂に最も強い衝撃を与える回となりました。女の子の色気や可愛さが飛びぬけてるわ他の作監なら絶対やらないアキの精一杯のお色気描写とか。
時間と余裕さえあればTV版も佐野がすべての基準となったことでしょう。
各種特典映像も佐野デザインを踏襲しています。旧VHSやレーザーディスクのパッケージも佐野の仕事。
「機動戦隊アイアンサーガ」とのコラボも恐らく佐野基準。
他に佐野キャラが楽しめるのはTV「時空転抄ナスカ」、
OVA「BOUNTY DOG バウンティドッグ 月面のイブ」等。
●大張正己
担:OP1.2。
「テッカマン」にオマージュを捧げ「ブレード」の前進となった「DETONATORオーガン」監督。
今作はOPのみですがOP職人としてバリバリにカッコ良い躍動を原画の石田敦子と共に刻む。
小坂由美子が熱唱するテンション爆上がり主題歌をバックに佐野やTOlllO(藍葉)とも違う我が道を突き進む凛々しいキャラ、メカの動きと完成度の高い映像で設定画に合わせる気皆無すぎて本編作画とのギャップに慣れぬまま最終回を迎えた視聴者は多いのでは。
OP2。1よりもバリッたタッチに
ちなみに「超時空要塞マクロスII -LOVERS AGAIN-」の大張作画回にDボゥイがモブとしてゲスト出演。
共同作画「破邪大星ダンガイオー」等。