小川紳介が影響を受けた映画

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浮雲より

全3項目

●代表作

三里塚シリーズ、
 
映画監督、編集技師、翻訳等で活躍した小川紳介が影響を受けた・語った・好きだった映画。

山根貞男の編「【増補改訂版】映画を穫る ドキュメンタリーの至福を求めて」で語った主な映画74本+1監督

「圧殺の森」以前
浮雲 成瀬巳喜男…の屋久島の雨。恋愛、戦後、旅
人情紙風船 山中貞雄…の“しのつく(篠突く。篠の竹林が如く細く高密度に降る様)”雨。時代劇、武士社会の残酷さ、共謀
フクちゃんの奇襲 政岡憲三/横山隆一…コメディ、戦争。子供の頃に何回も見たそうです
桃太郎の海鷲 瀬尾光世/持永只仁…ファンタジー、戦争、動物
市民ケーン オーソン・ウェルズ/ロバート・ワイズ…ミステリー、新聞記者、風刺
戸田家の兄妹 小津安二郎…家族、老後、ユーモア
愛染かつら 野村浩将…恋愛、看護師。フィルムは総集編が現存
元禄忠臣蔵 溝口健二…時代劇、事件、騒動
ジャン・ルーシュ…のアフリカを撮った作品群。ドキュメンタリー、人種問題、民族・人類学
吉田喜重…たちが中心にやった日本ヌーヴェルヴァーグ
 
小川が子供の頃、映画は労働の後の楽しみとして「つまらないものであってはならない」という思いから何でも楽しむように見ていたそうです。
そのため見た映画の話を家族にする時も、出鱈目で面白おかしく話を膨らますことがあったとか。
子供の頃と違い大人になってからは、試写室から分かったようなフリをして出ていく自分たちに対し『僕も含めて文化人って、みんなインチキですよ。
子供のときの方がよっぽどよく映画を見てた。
つまり、つまんない映画を全部おもしろくしているからね。
それが僕のなかで体験としてあるんです。
ですから、映画をする行為は、そこにスクリーンがあって映画をうつして、見て、帰ってくるだけではないんじゃないか。やっぱりそれを見ようと思ったときから、映画って始まってんじゃないだろうかって思ってた』
 
三里塚シリーズ以降
不知火海 土本典昭…ドキュメンタリー、漁業、水俣病。天草でやった“徹底して映画を解体する”上映について
ランボー テッド・コッチェフ他…シルヴェスター・スタローン
 
ランボー…を例に、フィルムの大きさや表現について『「ランボー」だってあって悪くはない。ただ「ランボー」しかなければ困ってしまう。だからいろいろな映画、いろいろな表現があるときがいちばんいいんだと思う』
 
三千年の収穫 ハイレ・ゲリマ…ドキュメンタリー、農民、家族、封建的な体制
村からの手紙 サフィ・ファーユ…ドキュメンタリー、農村、出稼ぎ労働、搾取
童年往時(童年往事) ホウ・シャオシェン
恋風塵 ホウ・シャオシェン
ベジャライ スティーヴン・テオ…スティーヴン・テオ(Stephen Teo)。1987年の作品
馬賊 田壮壮(ティエン・チョワンチョワン/ティエン・チュアンチュアン)
山の焚火 フレディ・ムーラー(フレディ・M・ムーラー)
女人故事 彭小蓮(ペン・シャオリャン)「女人故事(女人的故事)」。彭小蓮(ペン・シャオリャン/彭小莲)。1988年
 
「三千年の収穫」
「Mirt Sost Shi Amit/Harvest: 3,000 Years」。ハイレ・ゲリマ(Haile Gerima)。
1976年の作品。日本では1986年頃に公開
 
「村からの手紙」
「Kaddu Beykat/Letter from My Village/Lettre paysanne」
サフィ・ファーユ(Safi Faye)。1975年。日本〃1986年〃
 
小川の話によると、ゲリマとファーユにとってルーシュの作品は怒りが込み上げてくるほど抵抗があったそうです。
フランス等の国家がアフリカを植民地にした歴史、そのフランス出身の監督がアフリカを撮ることへの複雑な心境

・同書収録の小川による私論「戦後ドキュメンタリー映画史」で語った映画54本

生きていてよかった 亀井文夫
世界は恐怖する 死の灰の正体 亀井文夫勅使河原宏/小山内治夫
鳩ははばたく 亀井文夫…菊池周/清水浩/大野忠
基地の子たち 亀井文夫…井上莞/牛山邦一/山形周/瀬川浩/坂爪栄雄
流血の記録・砂川 亀井文夫…武井大/植松永吉/城所敏夫/勅使河原宏/大野忠
山宣渡政労農葬 プロキノ映画…松崎啓次/上田勇/北川鉄夫
生きているパン 奥山大六郎 他…石本統吉/太田仁吉/新庄宗俊/小林米作
いねの一生 太田仁吉/石本統吉
結核の生態 奥山大六郎/石本統吉
 
あなたの議会(あなたの議會) 菅沼完二
こども議会 丸山章治
富士山頂観測所 柳澤壽男
富士の地質 秋元憲/亀井文夫
流網船 ジョン・グリアスン「流し網漁船(流し網船/流網船/Drifters)」
空気の無くなる日(空気が無くなる日) 伊藤寿恵男(伊藤寿恵雄/伊藤寿恵夫) 他…石本統吉
マリン・スノー 石油の起源 野田真吉/大沼鉄郎
町の政治-べんきょうするお母さん 時枝俊江
ひとりの母の記録 京極高英 他…岩佐氏寿/加藤和
谷間の歴史 桑野茂
 
佐久間ダム三部作(佐久間ダム 総集編) 高村武次伊勢長之助。第一部~第三部。後に総集編としてまとめられる
巨船ネス・サブリン 楠木徳男富沢幸男/伊勢長之助
オランウータンの知恵 藤原智子/山口淳子
若き智慧の選手たち 東大自由映画研究会…1951年
無限の瞳 工藤忠義
九十九里 韮沢正早大稲門シナリオ研究会。1953
彦市ばなし 八島一夫早大稲門シナリオ研究会。1954
麦わら帽子 慶大草クラブ…原作:堀辰雄。1955
藪の中 高林陽一…1953
釘と靴下の対話 平野克己日本大学芸術学部映画学科映画研究会。1958
 
伊勢による戦前の稲垣浩伊藤大輔を彷彿とさせる特徴的な編集の重要性についても言及
 
Nの記録 神原寛/城之内元晴日本大学芸術学部新映画研究会。1959
鎖陰 足立正生日本大学芸術学部新映画研究会/鎖陰制作の会。1963
小さな幻影 本田順治国学院大学映画研究会。1957。小川紳介も共同制作担当として参加
春を呼ぶ子ら 進路指導シリーズ展望編 松本俊夫…傑作とのこと
安保条約 松本俊夫
白い長い線の記録 松本俊夫
海壁 黒木和雄/桑野茂/東陽一
ルポタージュ 炎(ルポタージュ・炎) 黒木和雄
わが愛北海道 黒木和雄
黒部峡谷 西尾善介/伊勢長之助
 
新しい製鉄所 伊勢長之助吉野馨治/瀬川順一
パルチザン前史 土本典昭/堤稚雄…小川プロダクションが制作
白い山脈 今村貞雄
或日の干潟(或る日の干潟) 下村兼史
和具の海女 上野耕三
炭焼く人々 渥美輝男
ミクロの世界-結核菌を追って 大沼鉄郎 他…杉山正美/岡田桑三/小林米作/伊勢長之助
女王蜂の神秘 樋口源一郎
明日を創る(明日をつくる) 前田昭岩波映画製作所。1962
伸びゆく三菱金属 喜渡正男岩波映画製作所。1960
 
Maij of japan(日本の郵便) 伊勢長之助岩波映画製作所。1961
大阪と電話 肥田侃岩波映画製作所。1961
映画の都・山形国際ドキュメンタリー映画祭89' 飯塚俊男 他小川紳介が構成・編集
 
・その他言及
羽仁進
我等の生涯の最良の年 ウィリアム・ワイラー

●「岩波映画製作所」関連

土本典昭…たちと共に映画研究グループ「青の会」結成

黒木和雄…上に同じ

羽仁進…出身の一人

●その他関連
大島渚大重潤一郎「小川プロ訪問記」で小川にインタビュー
山根貞男…小川の発言を「映画を穫る ドキュメンタリーの至福を求めて」等にまとめる