十字路の夜
La nuit du carrefour
1時間15分の中篇となっていますが、本来は1時間30分以上ある作品らしく、欠落した部分があるためストートーが解り難い作品となってしまっているのです。
ストーリーを頭に入れたい方はジョルジュ・シムノンの原作である短編小説「メグレと深夜の十字路」も読む事をオススメします。
ただ、ストーリーがどうでも良くなるほどミステリアスで力強い映像の魅力。
冒頭の遺体発見のシーン、刑事たちが吸う煙草の煙が構築する退廃的な空間、男を破滅に導く女(ファム・ファタール)の登場。
加えてルノワール特有の水の音。
「マルタの鷹」以前に撮られた幾つかの犯罪映画は、ニーノ・フランクが示したフィルム・ノワールの条件をクリアしてしまう作品が結構あります。
終盤における車上からの撮影は、「現金に手を出すな」や「勝負(かた)を付けろ」を思い出すようなシーンです。
終盤で胸元の傷の痕を見せるシーンがエロいですね。
刑事の後ろで着替える時の太もものエロさも。