●概要
「少女革命ウテナ」は、1990年代末期を飾った傑作の一つ。
おとぎ話から影絵、少女漫画、宝塚歌劇、寺山修司や鈴木清順のアヴァンギャルド(前衛的)的空間...と様々な世界が入り乱れる学園生活。そこに通う少年少女たちが決闘によって対立し、結ばれ、“変身”していく。
女同士・男同士・女と男の友情から恋愛、複雑な性的マイノリティにまで踏み込むディープな人間関係。
凍り付くお茶の間。
お情けや慰めなんざいらねえ!
拳を地面に突き立て立ち上がる雄々しき乙女たちよっ!!
東映「美少女戦士セーラームーン」シリーズに深く関わった幾原邦彦が信条とする「少ない枚数でも如何に面白く魅せるか」を極めた作品でもあり、奇抜な演出をはじめ止め絵やバンクの使い方も意表を突くトリッキー(巧妙)さ。
自己主張の激しい背景が荒ぶり時に襲い掛かる決闘場、胸中から眩い輝きと共に抜剣し火花を散らすバトルの数々、刹那の攻防で炸裂する一撃!
作画的にも幾原・榎戸洋司たちが結成したビーパパス(BE-PAPAS)、制作を担うJ.C.STAFFの下に個性豊かなアニメーターたちが集結。特に終盤は演出も作画も最高潮で怒涛のクライマックスへと向かう。
全2ページにかけて紹介。
●主な作画監督10名
長谷川眞也
1話。天上ウテナ
姫宮アンシー
かなり癖の強い絵柄だけにアニメーターの技量が試される現場となりました。
苦戦している人も多かったですが、巧くこなす者はまた違った魅力を引き出すことに。
OP作画、ED2共同作画、「アドゥレセンス黙示録」では作画&絵コンテにも参加。
7話
代々木アニメーション学院、ゆめ太カンパニー、ガイナックス等で活躍する女流アニメーター。
繊細な女性キャラに定評あり。
今作ではOP共同作画、「アドゥレセンス黙示録」作画にも。
最も癖のない柔らかみのあるタッチで良質な仕事振り。
七実も良いですが樹里の“奇跡”のような一撃回が最高。
生原作品には「輪るピングドラム」作画にも。
他キャラデザ&総作監「フルーツバスケット」、作画「ナースエンジェルりりかSOS」等。
長濱博史
2話
マッドハウスで活躍する名アニメーター。
ED1の作画、ED2共同作画、「アドゥレセンス黙示録」ではメカデザイン&共同絵コンテも手掛ける。
デザイナーとしても突出した人間で、コンセプトデザインから自由奔放な建物群の大半をデザインしたのもこの人。癖の強い人でもありますが巧さは抜群。
でもアゴが気になる。
33話で長谷川と共に総集編と思いきや色んな意味で重要すぎるアスパラもげろ回をやったのもこの人。
当時リアルタイムで見ていた多くの視聴者がそのあまりの衝撃に呆然あるいは絶叫したそうな。
ED「逮捕★完全」
相澤昌弘(相澤伽月)
アニメトロトロ出身。
長濱以上の癖の強さ、独特かつキレッキレな画で魅せる男。
OP共同作画、「アドゥレセンス黙示録」作画にも。
25話で長谷川・長濱たちと胸元はだけてボンネットに飛び乗って「やらないカー」をやった模様。
他総作監「地獄少女」、作画「とある魔術の禁書目録」等。
武内宣之(たけうちのぶゆき)
15話
29話
龍プロダクション(ドラゴンプロ)出身、スタジオジャイアンツ。
OP共同作画、「アドゥレセンス黙示録」作画にも参加。
回が進むごとに画のクオリティに磨きがかかる。
特に20話の樹里とペンダントと雨、29話の瑠果の生き様は必見!
他絵コンテ&作画「化物語」、作画「十二戦支 爆烈エトレンジャー」等。
門之園恵美
門上洋子
34話前半
ED2共同作画、本編では34話のみながら長谷川と共に本作で最も重要な“影絵”回を担当。
「アドゥレセンス黙示録」原画にも参加。
「セーラームーン」作画組。「アドゥレセンス黙示録」原画にも参加。
他キャラデザ&作画「働きマン」「フレッシュプリキュア!」等。
加藤裕美
4話
日本アニメーション出身。OP、1話から原画にも参加。
洗練された画、女性キャラの魅力を引き出す名人の一人。
参加陣に女性アニメーターが多いだけにこの人も名前からして女性では?と勘違いした人も多かったとか何とか。
他キャラデザ&作画「大草原の小さな天使ブッシュベイビー」、作画「とある魔術の禁書目録II」等。