「戦争・はだかの兵隊」-コメディ

戦争・はだかの兵隊
La grande guerra
 
「大いなる戦争」の題でも知られる戦争コメディの傑作。

ニーノ・ロータの穏やかで何処か哀しさもある音楽が印象的。

舞台は第一次大戦
徴兵検査から訓練、一時の平和から一気に戦争へと突っ込んでいく内容。

徴兵をちょろまかそうとするが騙されて結局軍人となってしまう前科者のジョバンニ、
ジョバンニを騙して金をくすねたが紆余曲折を経て相棒となる衛生兵のオレステのデコボコなコンビ。

物語はどんどんシリアスになっていくのですが、ところどころに転がるギャグでクスクス笑ってしまいます。

くすねた煙草をくすねた相手に勧めたり、列車の上での追いかけっこ、手榴弾のインク、ドアでのやり取り、特にジョバンニとコンスタンチーナの“再会”シーンは爆笑。
そもそもイタリア人がノリノリでナンパしているだけでも笑ってしまいます。
ドサクサにまぎれて人妻の胸を揉むな(笑)

ニワトリの件も和みます。

ただ、戦争となるとシリアスです。
爆弾に火を付ける作業は怖かったし、鉄条網を伏せて不意を付いたり、食事中の敵兵を撃たなきゃならない辛さ、ボロボロの兵士たちを見て歓迎パレードが葬式の通夜のように静まり返る場面、遠くで閃光が飛び交い味方が焼かれているというシーンはD.W.グリフィスの国民の創生を彷彿とさせます。

戦いは冬から春へと移っていく。街での“別れ”のシーンは切ない。

雨の中での砲撃は火薬が湿気らないでしょうか?

ラストは哀しい結末ですが、軍人として、そして仲間のために秘密を守って散って姿はカッコ良くて胸に迫る。
可笑しくも哀しい、良い映画です。
“眠る”二人の横を味方が駆けていくシーンが跡を引きます。