前田陽一が語った映画

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「太陽の墓場」より

全3項目

●代表作

「進め!ジャガーズ 敵前上陸」
「神様のくれた赤ん坊」
TVドラマ監督赤かぶ検事奮戦記II」
 
映画監督、TVドラマ監督、脚本家事務所「ラグス」共同代表等で活躍した前田陽一が影響を受けた・語った・好きだった映画。

「含羞のエンドマーク―前田陽一遺稿集」語った主な映画13本+2監督

七人の侍 黒澤明…戦争映画さながらの時代劇、アクション、ユーモア。黒澤映画は田舎の高校生の頃から欠かさず観ていたそうです
太陽の墓場 大島渚…犯罪、社会の病巣、ヤクザ、女。助監督。ブニュエル的なブラックさが好きとか
明日の太陽 大島渚…新人俳優紹介、若者たち、様々な演技・舞台。田村孟と共に助監
忘れられた人々 ルイス・ブニュエル…貧民街、子供たち、犯罪
好人好日 澁谷實(渋谷実)…家族、父娘、数学者。澁谷は師の一人
飢餓海峡 内田吐夢…スリラー、戦後、犯罪
悪人志願 田村…家族、いじめ、群衆・リンチ
愛と希望の街 大島渚…家族、貧乏人と金持ち、鳩売り
青春残酷物語 大島渚…恋愛、犯罪、ヤクザ
狂った果実 中平康…における石原裕次郎の唄。青春、三角関係
 
チャンバラ映画…子供の頃に見る
キューポラのある町(キューポラのある街) 浦山桐郎…羨ましく思っていた監督の一人
吉田喜重松竹ヌーベル・バーグ(ヌーヴェルヴァーグ)。支持した一人
 
黒澤について、ジュンブンガク(純文学)に憑りつかれていた時期でも黒澤映画の圧倒的な迫力を常に満喫していたそう。
松竹の助監督時代も「隠れ黒澤」をしばらく通したそうです。
なんでも松竹ヌーベル・バーグ(ヌーヴェルヴァーグ)の若い先輩たちが日本映画に革命をおこそうと気負っており、その助監督につけてもらった自分が黒澤映画の賛美などすれば袋だたきにあうのが目に見えていたとか。
イタリアの映画祭に小栗康平たちと行った時も、前田は黒澤のことをフランス語で『アルティスト(芸術家)よりもアルチザン(職人)だ』と言ったそうです。
なお本人は誉め言葉のつもりで言ったものの会場の人間には悪口だと思われ空気が悪くなったとか
 
大島渚をはじめとする松竹ヌーベル・バーグ(ヌーヴェルヴァーグ)について『下についたわたしたちの意見をよく採り上げてくれ、それだけでも一つの仕事に参加意識をもてるようになった』ものの、
下世話なサービス精神・「遊び」の部分をもって処したい前田にとって彼等の『政治的』『観念的』『芸術的』にひたむきで立派すぎる部分にはなじめなかったそうです
 
当時の文芸大作へのうさんくささ、澁谷實(渋谷実)の言葉をもじって『文芸大作だけは作らない』というようなことを言ったそうです
 
飢餓海峡について、前田は浦山桐郎と共にTVドラマ版の監督候補に。
前田いわく、浦山も映画が傑作だからこそ嫌いなTVの仕事を引き受けたのではないかと述べていましたが、結局実現には至らず
 
「進め!ジャガーズ 敵前上陸」以降
影武者 黒澤明…晩年の作品も前田的に十分堪能していたものの、黒澤と直接会った際に作品への不満点を言ってみたら怒られたとか
 
・本15冊
数学者の休憩時間 藤原正彦…数学恐怖症の前田もハマったとか
貂の皮 司馬遼太郎…引用
剣岳・天の記(劒岳 点の記) 新田次郎
 
小林治…漫画家、随筆家。彼のエッセイ
硫黄島いまだ玉砕せず 上坂冬子硫黄島の戦いで戦死した知人(そこまで親しい仲ではなかった)の追悼へ行く際、関連本をいろいろ読み硫黄島をめぐるif(もしも)を考えまくったとか
将軍突撃せり=硫黄島戦記=(将軍突撃せり 硫黄島戦記) 児島襄
硫黄島 R.ニューカム(リチャード・F・ニューカム)…田中至の訳
硫黄島―勝者なき死闘 D.ロス(ビル・D・ロス)
 
前田は「進め!ジャガーズ 敵前上陸」でも硫黄島を舞台にやりたい放題やっており他遺族との温度差を自覚
 
・歌
赤とんぼ 三木露風
 
リグ・ヴェーダ…の宇宙観について
 
・ゆらぎ
1/fのゆらぎ

●その他4本

集金旅行 中村登「神様のくれた赤ん坊」としてリメイク
第三の男 キャロル・リード他…オーソン・ウェルズ。「進め!ジャガーズ 敵前上陸」でパロディ
続・夕陽のガンマン(善玉・悪漢・卑劣漢) セルジオ・レオーネ他…クリント・イーストウッド。上に同じ
気狂いピエロ ジャン=リュック・ゴダール…〃

●関連記事

大島渚…の「太陽の墓場」等で助監督

吉田喜重…師の一人
小林信彦「進め!ジャガーズ 敵前上陸」共同脚本(中原弓彦 名義)
三村晴彦「にっぽんぱらだいす」で助監督

●「赤かぶ検事奮戦記シリーズ関連

瀬川昌治…初代シリーズ監督

田中徳三「II」から監督
石森史郎…〃から脚本