「シティーハンター」作画比較①

●概要

CITY HUNTER(シティーハンター)」北条司の原作漫画からしてハイレベルな画力が魅力の一つでしたが、TVアニメ版も高いクオリティが魅力となっています。
 
ルパン三世シリーズを彷彿とさせるアクションのキレやユーモア、お色気、メカニック描写、とにかくハードボイルドな大人の世界。脚本と作画のバランスが良かった傑作の一つと言えましょう。
 
1980年代は作画面でも高水準の作品が増えた時代。
が、制作スケジュールのキツいTVアニメでこれだけのスタッフが集まり、尚且つ一定以上の水準をキープするのは並大抵のことではありません。
 
バンクといった使い回しもほとんどなく、よく練られた脚本や演出に応えていました。
モチロン各担当によって微妙な違いはありますが、今作のようにアニメーターとして巧い人ばかりなら「個性を楽しむ」という余裕も生まれるのです。
 
全3ページにかけて紹介。

●第1期(1st)作画監督・アニメーター11名

北原健雄(北原匠)
1話。左は主人公の冴羽獠 
8話。冴子初登場
 
ルパン三世 2nd」をはじめ主に東京ムービー作品で活躍してきた凄腕アニメーター。
今シリーズでは総作画監督として細目にチェックを入れ、猛者がひしめき合う中を微調整、絵柄の統一を図る面で重要な役割を果たしています。
二枚目から三枚目、ギャグとシリアスの切り替えが激しい作風にドンピシャの人選。男も女も大人の色気ムンムンでカッコイイ。
監督のこだま兼嗣(児玉兼嗣)は「ルパン」時代から作画でコンビを組んできた一番弟子。
4話。ヒロイン槇村香の初登場
ゴステロ様もゲスト出演
 
サンライズ筆頭として鋭敏(シャープ)な画、特にメカニックやアクション描写は突出した腕前。
野郎もめろう共もメロウリンク張りにワイルドな面構えになり、時に荒々しく不思議と硝煙と火薬の匂いがするような渋さで魅せ…いやむせる
制作進行として経験を積んでいた渡辺信一郎サムライチャンプルー等でも活躍。
この谷口を筆頭とするサンライズ、北原といった各制作会社で鍛え上げて来た作画集団が抜群の連携を見せていくことになります。
いのまたむつみ(猪俣むつみ)
7話。瞳がくりくりしていて女の子が特に可愛いのが特徴
 
イラストレーター・漫画家としても活躍する女流アニメーター。
OPや1話の原画にも参加、キャラデザの神村、後に作監としても腕を振るう高橋久美子と共に女性キャラの魅力をさらに引き上げたと言って良い存在です。
「テイルズ オブ」シリーズのキャラクターデザインで名をはせていますが、カナメプロ時代は幻夢戦記レダ、カナメ制作協力さすがの猿飛等でも活躍。
神志那弘志
6話 
海坊主初登場
 
スタジオ・ライブ。
アニメーターとしては腕利きの一人。
影の表現、ハチャメチャなアクションの面白さ。
コンボイを乗り回すコンボイ(中の人)。
37話でど根性ガエルのパロディをやっていたのもこの人。
総作画監督「はじめの一歩」、共同キャラデザ及び総作監冒険遊記プラスターワールドシリーズ等。
彼もまた監督業に進出しますが「牙 -KIBA-以外さっぱりな模様
神村幸子(児玉幸子/上村幸子)
34話。安彦系譜の丸みを帯びた柔らかい線+リアルタッチ

シティーハンターキャラクターデザイン。エンディングの作画も。
映画シティーハンター ベイシティウォーズはキャラデザ神村・作画北原のコンビで安彦タッチを髣髴とさせます。
こだま作品では彼が関わった「2nd」原画や作画無法地帯と化したルパン三世 PARTⅢ」での死闘も経験。
こだまの嫁。
東京ムービーサンライズで経験を積み(特に機動戦士ガンダムZZでは前作から飛躍していた作画と女の子の可愛さに拍車をかける存在にカミーユまで完全に美少女)、安
彦良和監督作品でも活躍。
他キャラデザ及び作画ブラックジャック(手塚眞)」、作画「みゆき」等。
※2019年3月10日加筆修正
シティーハンター ベイシティウォーズを神村作画と勘違いしておりました。
キャラデザが神村、作画は北原でした。2136さん、御指摘のほどありがとうございました。
青木雄三(青木悠三/港野洋介)
エンディング原画
8話絵コンテ及び演出
 
ルパン三世シリーズで原画やオープニング等の演出で腕を振るった名アニメーター。
北原とは「2nd」時代からの戦友。
本作では主に原画・絵コンテ・演出として裏から作画陣を支える。
本編でアクロバティックなカーチェイス両手を拡げて襲い掛かるモーションがあったら大体この人(「ルパン」式変態行動)
小林ゆかり
5話。↑槇村秀幸。眼の表現や表情等が輝ります
 
マジックバス。
主に出崎哲作品で作画を手掛けることが多いようです。
他にもガラスの仮面(杉井ギサブロー)等、幅広い作品にちょくちょく参加。
2話
21話。冴子さん
 
スタジオ・ダブ(良い方の)を代表して参加していたみたいですが、すべてが謎に包まれたアニメーター。
原画に参加していた佐久間信一といったスタッフの内の誰かだったりするのでしょうか(佐久間は後にTVSP3緊急生中継!? 凶悪犯冴羽獠の最期」の作画に抜擢)。
素性はともかく実力は確か。
アメコミ調の色々濃い(褒め言葉)タッチ。
担当した二つの話とも青みがかった髪の美人回。神村の初参加回でも原画を手掛けているようです。
※2018年2月1日追記
一説にはダブの代表だった八幡正が別名義で参加したのでは...とも。
今作での仕事振りは素晴らしかったので是非とも詳細を知りたいものです(shu*****さん、貴重な情報感謝です)。
磯野智
 
最終回51話から参加。
「1st」シリーズのクライマックスとあって自重したのか北原の下でそつなく仕事をこなし、「2」からはより個性を発揮。
漫画っぽい動かしやすい絵柄と自由な表現。
森山雄治(森山ゆうじ)のスタジオMINでも経験を積み後にらんま1/2 熱湯編無責任艦長タイラー等でも活躍。
※2018年2月1日追記
磯野は女性キャラの可愛さとエロも抜群でした。
「2」7話の尻、17話の冴子のおっぱバキューンッバキューンッバキューンッ
清水恵蔵
11話のみ参加
 
小林と共同ながら本編ではよりリアルなタッチを披露。
装甲騎兵ボトムズの1話で塩山紀生と共にむせるような作画をしたのもこの人。
新井豊
46話のみ参加
 
機甲創世記モスピーダ超時空騎団サザンクロスといった80年代のタツノコ系で活躍してきた存在。
しかしこの回はアウベックと「ルパン」組の熾烈な作画抗争を窺い知れます。
北原、神村、原画の高橋たちが必死に手直ししたそうです。新井は犠牲になったのだ...
北原・青木にルパン三世 1st」ルパン三世 バビロンの黄金伝説等で絵コンテを手掛けた小華和ためお(小華和為雄)も参戦し作画が荒ぶっていました。
35話のみ参加
 
鈴木以上に謎の存在。
この回は絵コンテ・演出をムトウユージ、制作をアウベック(絶望)が手掛け個性が尖りまくった回。
尖りすぎた結果他の回と比較して浮きまくり作画崩壊呼ばわりされることに。
まあ悪くてもこのレベル、しかもこの回だけというのが。
遠藤の時に選ばれたゲストヒロインと原作エピソードが最大の被害者。

「シティーハンター2」以降の参加者リスト


「yahooブログ」で以前いただいた指摘コメント

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  • 北原健雄さんの人選はバッチリでした。北原さんって、東京ムービーでデフォルメされたキャラクターを描いている印象が強かったんですが、ハードボイルドタッチの作画も非常に上手くて驚きました。男性はかっこいいし、女性は超セクシー。シティーハンターには、今や日本を代表するような名だたる優秀なアニメーターが参加されていましたが、ヒロインをここまで魅力的に描き上げられた人は北原さんしかいませんでした。

    キャラデザイナーとして内定していた神村幸子さんが、サンライズにこだま監督を紹介し監督に就任。自らの人脈で北原さんと青木さんを招いてきたと思うんですが、本当に大当たりでした。これがもし、当初予定されていた高橋良輔が監督を務め、谷口守泰がデザイナーだったら、こう上手くはいかなかったかもしれません。

    鈴木四郎は僕も長年考えていましたが、スタジオ・ダブの代表である「八幡正」の変名かな、とも思いました。レイズナーバイファムにも参加されていたので。磯野智は、シティーハンター2の第17話で炸裂した、冴子の生乳が伝説的ですね(笑)。 削除

    shu***** ]

     

    2018/2/1(木) 午前 4:47

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    伝説のアウベック回なんですけど、第35話は本当に酷かったですね。作画崩壊していました。ムトウユージはこの回が演出デビューだったんですが、次は一人で回せないと判断されたのか、第46話では師匠である小華和ためおがコンテ(レイアウト)で参加されています。このおかげで、かなりマシになっています。それでも、冴子がポルシェではなく白パトでやってきたりと、少々「?」なところもあるんですけどね。

    多分、第46話は北原健雄青木悠三がかなりフォローに回ったんじゃないかと思います。新井豊もサザンクロス等で実績はありますが、サザンクロスの作画もかなり低調だったので、新井豊でここまで盛り返すのは現実的ではないと思います(笑)。 削除

    shu***** ]

     

    2018/2/1(木) 午前 4:51

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    shu*****さん、コメントありがとうございます。

    北原さんは「天才バカボン」から「シティーハンター」まで幅広くこなせるのが凄い人でしたね。動かすことに重点を置くアニメ、さらに原作の緻密なタッチにも寄せつつ・・・それで総作画監督までこなすパワー。感服するばかりです。

    神村さんやこだまさんとは「ルパン」の頃から抜群のチームワークでしたものね。夢のような作品でした 削除

    すかあふえいす ]

     

    2018/2/1(木) 午後 1:51

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    当時のサンライズはロボットものが多く、登場人物もそれに合わせどうしても硬質な感じになってしまいがちでしたね。

    谷口さんは硬質でクセも強い方ですが、女性キャラは艶があって凛々しい感じが好きです。「ハードボイルドシティ」は文字通り谷口テイスト全開のハードさが気に入っています。

    八幡正さんはあまり良い評判を聞かないですね。鈴木四郎さんの正体が八幡さんだとすると、相性の良し悪しが良かったのか、あるいは北原さんがチェックを入れたのか・・・いずれにせよ「シティーハンター」におけるスタジオダブは素晴らしい仕事振りだったので、それを広めるためにも詳細を知りたいものです。

    モスピーダ」の新井豊は結構好きでしたね~


    貴重な情報の数々、誠にありがとうございます!! 削除

    すかあふえいす ]

     

    2018/2/1(木) 午後 1:59

 

  • ベイシティーウォーズの作監は神村さんではなく北原さんでは?神村さんは同時上演の百万ドルの陰謀の方かと。 削除

    [ 2136 ]

     

    2019/3/10(日) 午前 3:14

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  •                              

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    2136さん、コメントありがとうございます。

    あ、本当ですね。調べなおしたら神村さんはキャラデザでした。北原さんが作画でしたね。
    間違えてしまい申し訳ありません。御指摘のほど感謝です。 削除

    すかあふえいす ]

     

    2019/3/10(日) 午後 3:24

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重ね重ね、誠にありがとうございました。