「勇者ライディーン」作画紹介

●概要

もしも勇者ライディーンの作画スタッフがそのまま機動戦士ガンダムでも大活躍していたら…。
そんな妄想を抱いてしまうほど、ライディーンの作画陣は実力者揃い。
前番組「ゼロテスター」から引き続き腕を振るった面々が多く、絵コンテとして参加していた富野喜幸(富野由悠季)も本作最初の監督を務める。その富野の諸作品でも活躍した作画マンが多いこと。

作画監督7名

安彦良和

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1話。主人公ひびき洸。
5話。桜野マリ

2話。プリンス・シャーキン
4話。明日香麗

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後にザンボット3」「Zガンダム」「ガンダムF91キャラデザ、ガンダムメイン作監を手掛ける名アニメーター兼イラストレーター。
絵柄は本作から既に洗練されたものがあります。
コン・バトラーVの南原ちづるといい(安彦回はエロい)、初代ガンダムより女の子が可愛い。
10・11話の善悪が覆る展開も海のトリトンから受け継ぎ、やがてキャラデザザンボット3でより極まることに。
安彦はこの頃から最初の15話分をブッ続けで作画するという意味不明なことをやっており、それが可能な余裕ある制作環境でもあったのでしょう。
ちなみに富野や「ゼロテスター」の監督を務めた高橋良輔が絵コンテに参加した「ろぼっ子ピートン」でも14話分連続作画とかやっています。
ガンダムは過酷な制作現場で死力を尽くしブッ倒れ生死の境を彷徨うことに。
他TVアニメでほぼ全作画をやり遂げた巨神ゴーグ(安彦が認めた土器手司のみ3話分担当)、絵コンテ&原画宇宙戦艦ヤマトシリーズ等。
坂本三郎

最終回50話
 
後に80年代前半の富野作品を支える重要な作監
漫画家時代に培った技量とスタミナからか彼も安彦ほどじゃありませんが4話分連続作画を2回こなす。
監督を引き継いだ長浜忠夫&絵コンテとして関わり続けた富野(斧谷稔 名義)の演出にも存分に応え、特に最終決戦でライディーンが巨大化する様はダンバインのハイパー化に先駆けた描写。
高橋サイボーグ009、富野作品ではイデオン」「ザブングル」「ダンバインのクライマックスを飾りエルガイムまで活躍。
絵コンテ職人としての富野とは長浜コン・バトラーV」「ボルテスV」「闘将ダイモスでも組むことに。長浜ロマンシリーズにおける作画の安定に貢献した一人です。
特にボルテスVで見せた女の業、ロボットの欠損振り、凄惨さは「ザンボツト3」といった一連の富野作品に通じるものがあります。
コン・バトラーVで活躍し全盛期だった金山明博とのコンビも抜群です。
しかし坂本も相性があるのかイデオンではハズレ作画になる回が多かったのも残念です。
原画との相性が悪かったのでしょうか。
艦長なのに白兵戦最強の男が単騎で殴り込んで行ったり、破廉恥な男が凄腕の狙撃をする回とか好きなだけに。
36話・43話辺りからようやくウマが合った感じになりましたがイデが発動(打ち切り)してしまい残念。
谷口守泰

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19話
 
シティーハンターでも紹介。
今作はアニメスタジオ、スタジオカム時代に作画(原画)として安彦の下で11話から活躍。
谷口のチームには村中博美といった後のアニメアールでも活躍するメンバーも参加。
高橋作品でも大活躍していくことになる彼ですが、富野作品ではアールを率いイデオンに参加。
新人育成も兼ね本人はあまり描かなかったそうですが、原画から作画まで細目に参加しどんどん凄味を増していきました。
しかしVガンダムは相性が悪かったのかどうしてああなった
他は長浜ロマンシリーズ、高橋装甲騎兵ボトムズ」「蒼き流星SPTレイズナー等。
塩山紀生(塩山憲武)

25話。眼の描き方から既に片鱗が
 
ダイターン3の最終回で壮絶なクライマックスを描いた塩山。
作画(原画)としては16話から参加。ただ安彦の絵柄との相性はあまり良くなかったみたいです。
が、覚醒した後の彼はコン・バトラーV」「闘将ダイモスでも富野絵コンテで作画、空間の奥行きと大人の渋さが滲み出ていました。
ザンボット3のオープニング原画も安彦と共に描いたみたいです。
そして高橋ガリアン」「ダグラム」「ボトムズで大いに腕を振るうことに。
佐々門信芳(全盛期)

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18話
 
ザンボット3最終回23話でも真価を発揮し脂が乗っていた佐々門。
安彦との相性の良さもダントツ。今作は1話から作画(原画?)チームの一人として活躍。
特に23話の凝った殺陣と戦闘描写が輝る回もオススメ。後の富野諸作品でも味わえるアクションが垣間見れます。
作画マンとしてのスタミナはモンスターレベルで家を建てるほど。佐々門の頑張りでアニメーターの過労死を何十人阻止できたことか…。
正し1980年代後半から画力はガバガバになる模様。
「ゼロテスター」「コン・バトラーV」「ボルテスVでも富野の絵コンテを幾つか作画、闘将ダイモスでは安彦の絵コンテで。
特にコン・バトラーVの富野絵コンテ回は普段おとなしいヒロイン南原ちづるが突撃少女と化しあんなことやこんなことをやり可愛さがグレードアップ。
ボルテスVは岡めぐみの太ももとオッサンのカッコ良さ。
中村一夫(滝川一夫)

21話のみ参加。戦闘時のゴリゴリの力強い線画が特徴
 
後に中村プロダクションを立ち上げ70年代のスーパーロボットサンライズ作品等を支えていくことになる中村。
メイン作画を手掛けた「ゼロテスター」で39話分を連続で作画した超人の一人。
富野の絵コンテ作画もこの時から経験。
富野作品での仕事は少ないですが、ダイターン3ガンダムでも強烈な印象に残る作画をしていました。
ガンダムで安彦が倒れるのを7話遅らせたのは彼のお陰と言っても過言じゃないでしょう。
そんな中村もガンダムでは苦戦したのか回によってムラがありました。
グラブロ回とギャン回は文句なしに最高なのですが、新兵がかかる病気回のイカしたグフとむくれたリュウ塩の回とかジオングの脚なんて飾りですとギレン総帥のケツ顎回は色んな意味で凄いことに。
野崎恒伸(野崎恒仲)

17話。敵もギャグ調
 
謎の多い作監。野崎だけは他の富野作品には参加していないみたいです。
というより、アニメーターとしての活躍そのものもあまり無い模様。

その他作画(原画)6名

稲野義信(秋野洋一(伝説巨神イデオンで神がかった演出、原画&作画聖戦士ダンバイン等)、
 
加藤茂(作画未来警察ウラシマン機動戦士ガンダムのOP原画も加藤の仕事。一時期仕事を共にしていた安彦にも一目置かれる)、
 
富沢雄三(作画銀河漂流バイファム」「ダーティペア等)、
 
進藤満尾(後に佐々門、河合静男らとともに邪神と化し、作画冥界三巨頭として視聴者を苦しめる)、
 
鈴木英二(イデオン」「超時空要塞マクロスにおける作画戦犯の一人)、
 
木下ゆうき(木下勇気/木下勇喜。優秀な作画マン。木下が作画監修した回はそれなりの作画になることが多いです。ただ監督作はMUSASHI-GUN道」をはじめ不運が重なり作画崩壊が多発する模様)。