前回紹介しきれなかった素晴らしきクソ邦題の世界。
怒涛の40本(11本目~50本目まで)を一気に紹介。
●40本
ファンタスティック・フォー(The Fantastic Four)
↓
宇宙忍者ゴームズ ウィリアム・ハンナ他
映画ではありませんが、クソ邦題の歴史を語る上でこの作品は外せません。
忍者とかまったく出て来ないのに忍者、主人公のリードに至っては能力が能力なのでゴームズでゴム野郎呼ばわりです。
パニック・イン・イヤー・ゼロ(Panic in Year Zero)
↓
性本能と原爆戦 レイ・ミランド
※性描写は暗示程度です。
セブン・チャンス(Seven Chances)
↓
栃麺棒 バスター・キートン
作品の原題「セブン・チャンス」の「セブン(7)」はとにかく“7”にまつわる事柄(年齢、時間、人数etc...)をめぐって騒動を巻き起こす本作を物語るようなタイトルです。
ちなみに栃麺棒は麺の生地を伸ばすのに使う道具で、意味が転じて慌て者とか、内容的には合っているんですよ。
ただね…その言葉の意味が分からない人間には不親切極まりない名前なんですよ。
そして「セブン・チャンス」の名で修正して下さった先陣たちに厚い賛辞を贈りたいと思います。
ちなみに同じキートン「将軍」なんて「大列車追跡」なら内容にも合っているしそれでいいのに「大列車強盗」とかそんな名前まで付けやがって(既に同じ邦題の作品があったにも関わらず)まぎらわしいんだよこの野郎としか言いようがありません。
日本だけでもまったく繋がりのない「大列車強盗」が二、三本はその題名でDVD化されている有様。
後、いちいち「●●の~」は別に付けなくていいですんで。
監督名を見れば誰の作品かすぐに分かりますから。
「●●の~」が付いた作品しかチェックしない人だっているんですよ。
「あの監督の作品は題名に監督の名前が入っているから、入っていないのは関係ない作品だな!」と、そういう先入観を植え付けられている人だっているんですよ。
その後に日本でリバイバル上映・DVD化された際はすべて「セブン・チャンス」で統一。
善玉・悪漢・卑劣漢(Il buono, il brutto, il cattivo)
カッコイイ詐欺ポスター。
でもクリント・イーストウッド&リー・ヴァン・クリーフが出てるし…まったく違う映画名にすると前作の客が呼べるか不安だし…。
もう面倒くせえから「続」にしょう!
ついでに何か決闘とかしてるしサブタイに「地獄の決斗」もセットで大ヒット間違いナシや!
おかげで大混乱だよクソッたれ!!!!!
ちなみに
男、男によって(Da uomo a uomo)
ジャンゴ(DJANGO)
コルブッチ「セルジオってだけでレオーネ作品に関連づけんな」
基本的なプロットは似ているものの、中身はもっとハードでヴァイオレンスでブッ飛んだマカロニウエスタンです。
フェイル・セイフ(Fail Safe)
↓
核戦争を題材にしたスリラー。
原題「フェイル・セイフ(フェイルセーフ)」とは、何らかの製品や機械、システム等が故障や誤操作を起こし、トラブルが発生しないようにそれを未然に阻止するための想定・設計のことをさします。
原題「フェイル・セイフ(フェイルセーフ)」とは、何らかの製品や機械、システム等が故障や誤操作を起こし、トラブルが発生しないようにそれを未然に阻止するための想定・設計のことをさします。
ルメット作品特有の密室という閉鎖空間でセリフを激しく交え緊張を高めていく。
けっして冒険映画でも観光映画でも派手な航空アクション映画でもありません。
ちなみに
「アンダーソンのテープ(THE ANDERSON TAPES)」は「007」でも何でもないのに「ショーン・コネリー 盗聴作戦」になりました。
●ここからネタバレ
ショーン・コネリー(が)盗聴(される)作戦なのに。日本版ポスターは本当は撃たれて床に倒れています。
「悪魔があなたの死に気付く前に(Before the Devil Knows You're Dead)」は「その土曜日、7時58分」になったり。
クローゼット棚(ル・プラカール/Le Placard)
↓
メルシィ!人生 フランシス・ヴェベール
フランシス・ヴェベールによるコメディ映画。
原題の「クローゼット棚」とはクローゼットから出る…つまり何かを打ち明けるというような意味を持ち、本作は同性愛と向き合い、決断する作品でもあります。
そんなフランス人の事情をどうやって日本人に伝えようか…そうだ!フランス人だから「メルシィ!」とか何か悩んでるから「人生」とか付けりゃ大丈夫だな!アホか。
でも挨拶は分かりやすいかも知れません。「クローゼット棚」だけだと寂しいので「メルシィ!クローゼット棚」とかでもイケるかも。
コメディ。原題のままでいいじゃないですか。
まあ一番の問題は似たような邦題を付けすぎということなんですよね。
イズン・ライフ・ワンダフル(ISN'T LIFE WONDERFUL)
↓
素晴らしき哉人生 D.W.グリフィス
まだ名訳。
イッツ・グッド・トゥ・ビー・アライブ(It's Good to Be Alive)
↓
素晴らしき人生 アルフレッド・ワーカー
ま、まあ…。
イッツ・ワンダフル・ライフ(It's a Wonderful Life)
↓
素晴らしき哉、人生! フランク・キャプラ
グリフィス作品と紛らしいことこの上ない題名ですが、原題も共通点が多いこと、題名に「、」や「!」と強調する要素を足してハジけた感じにしたのでしょうか。
まあこの辺は仕方ないかも知れません。
アス・ヤング・アス・ユー・フィール(AS YOUNG AS YOU FEEL)
全然違うじゃねーかッッッッッ!
ちなみに
同じフランケル「マーリーと私(Marley & Me)」は「マーリー 世界一おバカな犬が教えてくれたこと」になりました。
おお馬鹿野郎は命名者、テメぇだッ!!!
風に記されて(Written on the Wind)
↓
風と共に散る ダグラス・サーク
散るのか...(困惑)
散るのか...(困惑)
ガンファイター(The Gunfighter)
↓
拳銃王 ヘンリー・キング
ラスト・サンセット(THE LAST SUNSET)
↓
ガン・ファイター ロバート・アルドリッチ
どちらも拳銃の王になるくらいガンファイトとか全然しないんですがそれは…。
どちらも拳銃の王になるくらいガンファイトとか全然しないんですがそれは…。
意味が分かりません。
ちなみに
大いなる決闘(Il grande duello)
大いなる決闘(Il grande duello)
↓
ガンファイター(怒りのガンマン-銀山の大虐殺) シャンカルロ・シャンティ
「ガン・」なのか「ガン」なのかハッキリせえやっ!!!!!
紅い深淵(Profondo rosso)
ワイルド(Wild)
↓
私に会うまでの1600キロ ジャン=マルク・ヴァレ
×キロ
〇マイル
ファビュラス・ベイカー・ボーイズ(The Fabulous Baker Boys)
↓
恋のゆくえ スティーヴ・クローヴス
恋はそんなにしません。
真夜中のカウボーイ(Midnight Cowboy)
↓
真夜中のカーボーイ ジョン・シュレシンジャー
「『カーボーイ』の方が都会的でカッコイイじゃんwwwwww」
アフリカを出て(Out of Africa)
↓
愛と哀しみの果て シドニー・ポラック
地獄(L'Enfer)
↓
美しき運命の傷跡 ダニス・ダノヴィッチ/クシシュトフ・キェシロフスキ(原案)
「地獄」だけじゃよくわかんないし売れないだろうし何か女の子が思い悩んでるな…とりあえず「美しき」とか意味深な言葉テキトーに並べるか!…ってならねーよ。
もっと他にあんだろ…。
悩んでる感じを主張するなら「悩ましき地獄」とかダメですかね。
女・男・貴方・陛下(Die M?nner Ihrer Majest?t)
ブラック・コメディなのにアクション映画と勘違いする仕様に。
コメディだから原題のままゴリ押しでもいけるんじゃないでしょうか。
酷く疲れている(DEATH WARMED UP)
↓
マイドク デヴィッド・ブライス
「マイドク いかにしてマイケルはドクター・ハウエルと改造人間軍団に頭蓋骨病院で戦いを挑んだか」。邦訳が略称になるたぁどういうことだ。
内容的には確かにいろいろぶっ飛んでるのですが題名が長すぎる。
単純に「マイケルvs改造軍団」とか「復讐者-改造軍団をブッ殺せ」なんてのはどうでしょうか。
動物園を買っちゃった(We Bought a Zoo)
↓
幸せへのキセキ キャメロン・クロウ
何が幸せでキセキなんだよっ!?奇跡か?軌跡?輝石?鬼籍?
コメディなので「動物園を買っちゃった」という思い切ったものでもいいでしょう。
逆境に立ち向かう指南書(Silver Linings Playbook)
↓
世界にひとつのプレイブック デヴィッド・O・ラッセル
これも直訳をそのままでいけるかも。
時間(시간)
↓
絶対の愛 キム・ギドク
「愛」など(ry
ギャング対策課(Gangster Squad)
↓
L.A.ギャングストーリー ルーベン・フライシャー
〇ギャングに対抗する警察官たちの物語
×ギャングの物語
ミッキーの青い瞳(Mickey blue eyes)
↓
恋するための3つのルール ケリー・メイキン
勝手にルール作んな
その湖の底(What lies Beneat)
ロバート・ゼメキス「What(ワッツ)!?」
呪われた丘の上の家(House on Haunted Hill)
制作のゼメキス「Oh...」
まったく関係ない作品にそれっぽい題名を擦り付けるのは最早お家芸。
フォレスト・ガンプ 一期一会
ゼメキス「( ゚Д゚)」
※「彼の名は」は題名ではありません
進軍ラッパが消える時(WHEN TRUMPET'S FADE)
↓
プライベート・ソルジャー
ジョン・アーヴィンによるシリアス極まりない戦争映画。
邦題は当時流行っていた「プライベート・ライアン」に便乗でもしたのか意味不明なものに。
時の泥棒(Time Bandits)
サンキュー・フォア・スモーキング(Thank you for smoking)
↓
サンキュー・スモーキング
〇喫煙にご協力ありがとうございます
×ありがとう喫煙
ジェイソン・ライトマンによる本作は喫煙を推奨し危険なものを売りつけるロビイスト、過剰な禁煙運動を展開する人々、その両方をやんわりと風刺する風刺劇。
「禁煙にご協力ありがとうございます」の表示を皮肉った原題ですので、邦題だとその皮肉が成立しません。
〇喫煙にご協力ありがとうございます
×ありがとう喫煙
ジェイソン・ライトマンによる本作は喫煙を推奨し危険なものを売りつけるロビイスト、過剰な禁煙運動を展開する人々、その両方をやんわりと風刺する風刺劇。
「禁煙にご協力ありがとうございます」の表示を皮肉った原題ですので、邦題だとその皮肉が成立しません。
「セービング(Saving)」は「救出」、「プライベートPrivate」は「私的な、ひとりきりの、 内密の、陸軍の兵士」と複数の意味を持ち軍隊では「二等兵」を意味します。
内容的にとにかくライアンを探し出し生きてりゃ救い出せという感じなので「二等兵」の部分は省略してもいいかと。
原題のままだとやや長い?それなら思い切って「ライアンを救え」。
かといって「ライアン救出作戦」だと漢たちの汗臭いアクション映画みたいに。
あるいは生きているか分からない&壮大な冒険・抒情詩的な感じに「ライアンを探して」とか。
●賛否両論のタイトル12本
原題の「今夜はしんどかったぜ」は、原題と同じタイトルの曲を映画製作とともにビートルズが発売。
それくらい人気絶頂、行く先々でファンに追いかけ回され、サインを書き、時に全力で走って逃げ、作曲し、ライブ会場で歌いまくりヘトヘトに疲れ果てる。
そんな心情のビートルズが来るのはわかってるからっ!!
ヤアヤアヤアじゃねえよと。
ちなみに同じレスターの次作は「ヘルプ!4人はアイドル」だそうです。
いい加減にしろ水野晴郎。
後に日本でも「ハード・デイズ・ナイト」の題で無事DVDが発売されました。
初公開時と後に作品名が変わることはよくあることですが(例:「恋人までの距離(ビフォア・サンライズ)」、「007 危機一発(007 ロシアより愛をこめて)」等)、最初に「ヤアヤアヤア」の名前で親しんだ方々はかなり戸惑ったでしょうねえ…。
蒸し暑い夏の昼下がり(Dog Day Afternoon)
↓
狼たちの午後 シドニー・ルメット
確かにカッコイイタイトルです、正直かなりキマッています。
確かにカッコイイタイトルです、正直かなりキマッています。
ただ…“狼”でも“犬”ですらないという。
グラビティ(Gravity)
↓
ゼロ・グラビティ アルフォンソ・キュアロン
重力→無重力。
どっちだよっ!?ラストの余韻ブッ壊し。
原題通りでいいかと。
けだものどもの物語(Relatos salvajes)
原題は「野生の物語」または「野蛮な物語」。
コメディありスリラーありのオムニバス形式。
シューティング・ドッグス(Shooting Dogs)
↓
ルワンダの涙 マイケル・ケイトン・ジョーンズ
ルワンダ虐殺を元に制作されたシリアスなドラマ。
このままでは衛生状態が増々悪化ししまう。それを止めるために止むを得ず野犬を撃っていく。
犬は殺せるが、民兵そのものを止めることは出来ない…そんな無力さを訴えかける原題でもあるのです。
確かに舞台はルワンダです。
犬は殺せるが、民兵そのものを止めることは出来ない…そんな無力さを訴えかける原題でもあるのです。
確かに舞台はルワンダです。
ただ、「涙」を流せばいいとか、そんな情緒に訴える作品ではないのです。
士官と紳士(An Officer and A Gentleman)
↓
愛と青春の旅だち テイラー・ハックフォード
軍隊における教官と教え子の立場が逆転=若者の成長。愛はオマケ。
上官と部下が恋愛関係に発展(アッー!)とかそんなことはありません。
それよりも重要なのは格差社会から脱するという問題を背負っているのです。
でも意味が深すぎて日本人に伝わるのか?どうしよう…そうだ!「愛」と「青春」と「旅立ち」の詰め合わせにすれば売れるぞ!!
全然違う映画になってんじゃねーか!!!
「愛」などいらぬっ!!!!!
周波数(Frequency)
クレイマーvsクレイマー(Kramer vs. Kramer)
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クレイマー、クレイマー ロバート・ベントン
原題:何で戦ってんだ?→そういうことだったのか…。
邦題:どのクレイマーだよ
ある騎士の物語(A Knight's Tale)
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ROCK YOU!(ロック・ユー) ブライアン・ヘルゲランド
中世を舞台に馬上で槍を振るう騎士たちの激突を描いた作品。
中世を舞台に馬上で槍を振るう騎士たちの激突を描いた作品。
いや確かに劇中でロックな音楽がかかったり、アクションといったやり取りもかなりロックな感じでしたよ。
でも日本で英語の原題を英語の邦題で置き換えるってどういうことなの…。
ちなみに
同じヘルゲランドの「オーダー(The order)」は「悪霊喰」になりました。
熊(L'Ours)
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小熊物語 ジャン=ジャック・アノー
原題よりも明確じゃないの?と思う方もいると思いますが、そんなほのぼのできる作品じゃないので。
原題よりも明確じゃないの?と思う方もいると思いますが、そんなほのぼのできる作品じゃないので。