ポランスキーはイエジー・スコリモフスキと組んで「水の中のナイフ」で長編デビューするまでに幾つか短編を撮っています。その中から、初期の最高傑作の1つと言って良い作品を二つ紹介したいと思います。
タンスを持った二人の男(Dwaj ludzie z szafa)
ポランスキーが撮った短編の中で「天使たちが失墜する時」に並ぶ逸品。
コメディタッチと海の映像、終始流れる軽快な音楽で和む作品。
サイレント映画のように魅せる流れはポランスキーの短編すべてで貫かれているようです。
あるのは口笛と財布を盗むスリの会話くらい(男にボコられていた男はもしかしてスリか?盗みがバレて半殺しにされたとか)。
コメディタッチと海の映像、終始流れる軽快な音楽で和む作品。
サイレント映画のように魅せる流れはポランスキーの短編すべてで貫かれているようです。
あるのは口笛と財布を盗むスリの会話くらい(男にボコられていた男はもしかしてスリか?盗みがバレて半殺しにされたとか)。
海からタンスを持って現れる二人の男。少し濡れているところを見ると、どうやら本当に海の中からやって来たらしい。彼らは何者なのだろうか。
一応運んできたタンスを売りに来たらしいです。妖精か何かでしょうかね?
浜辺にたどり着き、互いの健闘を讃えるようにはしゃぐ二人。
男たちはタンスを売ろうと奮闘しますが、次々に断られて点々としていきます。“タンスも鏡も間に合ってます”という具合に。
不良たちにまでボコボコにされてとことん運が無い。
でも、ナンパされていた女性を助ける事はできました。
「パーティーを破壊せよ」でも不良たちのヤリ逃げがありました。
ポランスキーの短編における彼等は野放しの獣のように描かれています。
二人寂しく再び海の中に消えていく様子が切ない作品でした。
二人寂しく再び海の中に消えていく様子が切ない作品でした。
天使たちの失墜(Gdy spadaja anioly)
物語は、この女性の若くみずみずしい青春時代と戦争の記憶をカラーで再現していく。
現在が白黒で過去をカラーで映す演出は「ジョニーは戦場へ行った」に先駆けた作品の一つではないでしょうか。
女性の淡い記憶。
男を見て愛した男を思い出し、子供を見て息子を思い出し、連れ去られる男を見て連れ去られる家族を思い出していく。
やがて戦場で戦う息子の映像が流れますが、格好から推測するに第一次世界大戦のようです。
目の前で仲間の脚が吹っ飛び、懐に手を入れた敵との哀しき出会いと別れ。
目の前で仲間の脚が吹っ飛び、懐に手を入れた敵との哀しき出会いと別れ。
息子の記憶は、女性が目の前で見た記憶だったのか。それとも息子を見て脳裏に浮かび上がった光景だったのでしょうか。
ラストはビックリです。
本当に“天使”が空から降ってくるんですもの。思わず笑ってしまいましたよ。
上記二つの短編は他の短編と合わせて「ロマン・ポランスキー短編全集」に収録されています。