●概要
オススメのロシア映画を片っ端から紹介。
●オススメの傑作・名作11本
誓いの休暇 グリゴーリ・チュフライ
Баллада о солдате/BALLADA O SOLDATE
グリゴーリ・チュフライ(グリゴリー・チュフライ/グレゴリー・チュフライ/グレゴーリ・チュフライ)。
今作はミハイル・ロンムの下で学んだチュフライがソヴィエト(ロシア)連邦の雪解け時代に撮った傑作。
恋愛映画としても一級品の戦場と故郷を渡り歩くロード・ムービー。
第二次大戦下のソ連とドイツが争う戦場から始まり、怪獣のように描かれる戦車との一騎打ち、疲れ切った戦友、傷ついた者を待ち続ける家族、故郷にすら拡がりつつある戦火、ひたすら突き進む列車とタイムリミットが迫る中で繰り返される一瞬の出会いと別れ、儚い恋。
ロシア映画は音楽の使い方が卑怯です。
青い青い海 ボリス・バルネット
У самого синего моря/U SAMOGO SINEGO MORYA
「コメディ映画ベスト」で「帽子箱を持った少女」を紹介。
本作はカスピ海を舞台にした楽しいミュージカル・コメディ。
ダイナミックに荒れ狂う海の情景、激流に揉まれる漂流者たち、ハンティングとの遭遇、弾け飛ぶ贈り物、波の恐ろしさともたらされる奇跡。
Двадцать дней без войны/DVADTSAT DNEY BEZ VOYNY
共通するのは列車の疾走と孤独な男の魂の物語が刻まれているという事。
映画監督が撮ろうとする虚構の戦争、実際に戦場を見てきた従軍記者との対立。
サミュエル・フラーの「映画を撮ること自体が戦争だ」ということを思い出すような光景です。
他は「わが友イワン・ラプシン」「フルスタリョフ、車を!」等。
dvdは「アレクセイ・ゲルマン DVD-BOX」辺りがオススメ。
ざくろの色 セルゲイ・パラジャーノフ
Цвет граната/SAYAT NOVA
「恋愛映画ベスト」で「火の馬」を紹介。
彼の最高傑作は「火の馬」あるいは高密度の短編「ピロスマニのアラベスク」だと思いますが、ビジュアルの強烈さ・中毒性はこの作品がダントツ。
実在のアルメニアの詩人サヤト=ノヴァの苦悩と葛藤を描き、明確なストーリーは無いのですが主人公の苦悩が映像と音によって表現されていく感覚が凄い。
葬儀場に雪崩れ込む羊の群、赤々と熟れたザクロ、山田尚子にも受け継がれる幻想的な光景。
当時のソ連社会を挑発しまくり逮捕までされたパラジャーノフの想いも刻まれた作品です。
他は「アシク・ケリブ」「スラム砦の伝説」等。
一年の九日 ミハイル・ロンム
Девять дней одного года/9 DNEY ODNOGO GODA
冷戦下で原子力をテーマにした作品。
本物の研究所で撮影されているかのようなリアルさ、放射能の危険性、死と隣り合わせの青春、恋愛、葛藤、手紙。
鶴は翔んでゆく(戦争と貞操) ミハイル・カラトーゾフ
Летят журавли/LETJAT ZHURAVLI
ノスタルジア アンドレイ・タルコフスキー
Ностальгия/NOSTALGHIA
タルコフスキーが苦手・初心者にもオススメする素敵なロードムービー。
とにかく疲れている時に見ると癒されます。
霧の中に吸い込まれるように長くうねる道、ホテルで過ごす男女の平和な一時と誘い、ドアの向こうに拡がる故郷の情景、鏡に映るもの、廃墟に拡がる水面を照らす光、過去と現在を行き来し死期が迫る者たちの孤独な闘い、蝋燭の灯、あっという間に過ぎ去る2時間。
他は短編「ローラーとバイオリン」、放射能に犯された世界での冒険を描くSF映画「ストーカー」、「惑星ソラリス」、歴史大作「アンドレイ・ルブリョフ」、核がもたらす破滅の世界「サクリファイス」等。
他は短編「ローラーとバイオリン」、放射能に犯された世界での冒険を描くSF映画「ストーカー」、「惑星ソラリス」、歴史大作「アンドレイ・ルブリョフ」、核がもたらす破滅の世界「サクリファイス」等。
グルーモフの日記(グリモフの日記) セルゲイ・エイゼンシュテイン
дневник глумова/Dnevnik Glumova
今作はエイゼンシュテイン入門に最適な短編。まずはこの作品からどうぞ。
↓詳細については下記を御参照下さい。
↓詳細については下記を御参照下さい。
「セルゲイ・エイゼンシュテインの短編について」
DVDは「戦艦ポチョムキン Blu-ray エイゼンシュテイン監督のデビュー作『グリモフの日記』、トーキー作『センチメンタル・ロマンス』収録」がオススメ。
DVDは「戦艦ポチョムキン Blu-ray エイゼンシュテイン監督のデビュー作『グリモフの日記』、トーキー作『センチメンタル・ロマンス』収録」がオススメ。
ストライキ セルゲイ・エイゼンシュテイン
Стачка
エイゼンシュテインの長編で真っ先に見て欲しい傑作がコレ。
モンタージュが映像の暴力となって殴りかかる彼の作品で最も苛烈とも言える容赦のなさ。
ドキュメンタリータッチで描かれる労働者たちの日常、人々がいなくなった工場の不気味な静けさ、スパイ、恐怖と混乱が雪崩のように押し寄せる虐殺と破滅。
他は元祖ミュージック・ビデオ?の短編「センチメンタル・ロマンス」、二部構成の歴史大作「イワン雷帝」、氷上を駆ける騎兵の激突「アレクサンドル・ネフスキー」、ラスト1時間のダイナミズムに圧倒される「全線~古きものと新しきもの」等。
不思議惑星キン・ザ・ザ ゲオルギー・ダネリヤ
Кин-дза-дза! /KIN-DZA-DZA!
●その他15本
こねこ イワン・ポポフ
Котёнок/KOTYONOK
ボリシェヴィキの国におけるウェスト氏の異常な冒険 レフ・クレショフ
Необычайные приключения мистера Веста в стране Большевиков/NEOBYCHAINYE PRIKLYUCHENIYA MISTERA VESTA V STRANE BOLSHEVIKOV
エイゼンシュテインと共にモンタージュを確立したクレショフ。
本作は脚本にフセヴォロド・プドフキン、俳優としてボリス・バルネットも参加した反米コメディ。
バルネット演じる西部劇のカウボーイやらギャングやらペテン師やら大騒動を巻き起こす愉快さ。
この時期のロシアコメディは他にコテ・ミカベリーゼ(Kote Miqaberidze)の「私のおばあちゃん(Chemi bebia/Моя бабушка)」等。
太陽 アレクサンドル・ソクーロフ
Солнце/Solntse
私は余り興味がないんですが、現代ロシアを代表する監督という事で一応挙げておきます。
こんな映画を撮られて日本人が悔しくないわけがありません…よね?日本人よ!
ソクーロフが苦手という方にも短編「ユベール・ロベール-幸福な人生」がオススメ。
●日本未DVD化10本
未来への迷宮(青年たちは許さない/きびしい青年) アブラム・ローム
Строгий юноша
Строгий юноша
ロシア革命後における世代間の葛藤を描いた作品。
湖に泳ぎに行く裸体、夢のような空間、噴水、水に浸されたフロアでミュージカル映画さながらに女性を囲み踊りまくる若者たち!
他はヴィクトル・シクロフスキーと組んで描かれる三角関係と生々しく捉えられたモスクワとチェスと猫「ベッドとソファ(第三メシチャンスカヤ通り/三人目の俗物/三人の愛)」等。
諜報員(斥候の勲章/秘密諜報員) ボリス・バルネット
Подвиг разведчика/PODVIG RAZVEDCHIKA
ふたりの駅 エリダール・リャザーノフ
Вокзал для двоих/VOKZAL DLYA DVOIKH
現在から過去をさかのぼり、再び現在へと戻って来るロマンチックな恋愛映画。
バルネットに通じるロシア離れした面白さがありますね。
この作品だけまともにソフト化されていないのが残念(dvdはあるそうですが何処も在庫切れだとか)。
日本でもソフト化されている作品では「持参金のない娘」「運命の皮肉(運命の皮肉、あるいはいい湯を)」がオススメ。
日本でもソフト化されている作品では「持参金のない娘」「運命の皮肉(運命の皮肉、あるいはいい湯を)」がオススメ。
イワン・ ワシーリエヴィチ レオニード・ガイタイ
Иван Васильевич меняет профессю/IVAN VASILEVICH MENYAET PROFESSIYU
ロシア史上、最も成功を収めた痛快ドタバタコメディの名手レオニード・ガイタイ最高の一篇。
想い出の夏休み セルゲイ・ソロヴイヨフ
СТО ДНЕЙ ПОСЛЕ ДЕТСТВА/STO DNEY POSLE DETSTVA
文字通り夏が描かれるロシア映画。
子供から大人へと成長していく男女の思春期をみずみずしく捉えた作品です。
長い見送り キラ・ムラトヴァ(キラ・ムラートワ/キラ・ムラートヴァ)
Долгие проводы/DOLGIE PROVODY
女性監督ムラートワを代表する一本。
他は「灰色の石の中で」等。
海に出た夏の旅 セミョーン・アラノヴィッチ
海に出た夏の旅 セミョーン・アラノヴィッチ
Рафферти/SARAH RAFFERTY
これも夏が描かれた作品。