西部劇ベスト100②

●日本未dvd化

風(ザ・ウィンド) ヴィクトル・シェストレム
The Wind

身の凍るようなホラーテイストの逸品。
吹き荒ぶ風を様々な形で映し出し、主人公の苦悩いった心理面さえ表現してしまう。
砂漠の密室で一人残される恐怖、竜巻、砂嵐、幻想、悪夢、馬、銃の一撃。
D.W.グリフィス「映画は女と銃だ」の格言を証明するような作品です。
大列車強盗のエドウィン・S・ポーターに学び、西部劇の先駆者の一人となったグリフィス。そんな彼の下で活躍したリリアン・ギッシュ

地獄の迎火(ヘルズ・ヒンジズ) チャールズ・スウィツカード(チャールズ・スウィッカード)他
ウィリアム・S・ハート/トマス・H・インス(トーマス・ハーパー・インス)。HELL’S HINGES
「ソドムとゴモラを題材にしたような西部劇。燃え盛る建物、ブチ切れハートの迫力!
「鬼火ロウドン」等で描かれたハートの義侠心に惚れ込んだ長谷川伸は股旅もので、イーストウッド「荒野のストレンジャー許されざる者でより題材を追求していきます。
他は馬が一斉に走り出すランドラッシュの迫力「曠原の志士(タンブルウィードズ/回転草たち)」等。

レッドマンの考え(インディアンの考え) D.W.グリフィス
THE REDMAN'S VIEW
元々そこで暮らしていた文明が、他の文明の干渉によって土地を奪われてしまう残酷さを描いた作品。
レッドマンたちの儀式、悲しき結末。 
他は白人と異文明の負の連鎖を描く「大虐殺」駅馬車の原型「エルダー・ブッシュ峡谷の戦い」等。

無法の拳銃 アンドレ・ド・トス
DAY OF THE OUTLAW
雪の降りしきる街でスリリングな殺し合いを描いた作品。
土地を守る争い、雪崩れ込む騎兵隊が巻き起こす混乱、リンチと強姦の恐怖。
飢えた野獣たちが密室で次々に女性を捕まえ無理やり踊り接吻を迫り、拳銃を突き付けて奪い合う。

赤い砦 アンドレ・ド・トス
The Indian Fighter
異文明との和平交渉を望む作品。
水浴びをする女性との出会い、交易、白人への憎悪、襲撃。

逮捕命令 アラン・ドワン
Silver Lode
マッカーシズムへの批判が込められた作品の一つ。
冤罪をめぐり集団が狂い迫りくる恐怖、迫りくる時間、たった一人で家から家を行き交い市街地を駆け抜ける緊張、教会と跳弾の怖さ。
他は「フロンティア・マーシャル」「対決の一瞬」「バファロウ平原」「私刑(リンチ)される女」等。

テキサスの死闘 ジョセフ・H・ルイス/ベン・L・ベリー(ダルトン・トランボ)
TERROR IN A TEXAS TOWN
石油をめぐる対立を軸にいきなり決闘の場面、そこに到った経緯を遡る展開が凄い。
不思議な魅力に溢れる殺し屋ネドリック・ヤング、それを秘密兵器で迎え撃つスターリング・ヘイドンダルトン・トランボたちによる赤狩りへの反撃。
他は「捨て身の一撃」「第七騎兵隊」「ハリディ・ブランド(The Halliday Brand)」等。

●その他dvd化作品

テキサスの五人の仲間 フィルダー・クック(フィールダー・クック)
A Big Hand for the Little Lady
ロバート・ロッセンの傑作ハスラーに参加したシドニー・キャロルが脚本を手掛けた元祖「スティング」
シナリオの完成度はコッチの方が上かも知れません。
冒頭から勢ぞろいするギャンブラーたち、銃撃戦が一切なくとも愉快なドラマだけでグイグイ盛り上げ、どんでん返しにはビックリ。

三悪人 ジョン・フォード
3 Bad Men
アレクサンドル・デュマ・ペール「三銃士」をモチーフにした活劇。
船と海原、馬が一斉にスタートし猛然と駆け抜け、車輪が吹き飛び土煙をあげるレースの大迫力、小屋を取り囲む銃撃戦、黒澤明隠し砦の三悪人にも受け継がれる馬の疾走。
フォードは他にも取り換え子と人種差別問題に踏み込む「馬上の二人」、迫害に苦しむ「シャイアン」、シャイアン・ハリーが活躍する馬の疾走と活劇「誉の名手」、糾弾される殺戮「アパッチ砦」等。

ブロークン・トレイル ウォルター・ヒル/ロバート・デュヴァル
Broken Trail
馬の大群を引き連れる旅を描いた、TV西部劇の大作。
3時間に渡り壮大な自然を歩み、斜面を駆け抜ける馬、馬、馬、異国の少女たちとの出会い、異文明たちとの交流、ハワード・ホークスやジョン・フォードから受け継がれる一瞬の銃撃の鮮やかさ。
他はペキンパーを髣髴させるスローモーション演出のジェシー・ジェイムズものロング・ライダーズバッファロー・ビル」、謎の王国ダブルボーダー、異文明との衝突ジェロニモ等。
ロバート・デュヴァルが印象的な作品は他にTV西部劇「ロンサム・ダブ ~モンタナへの夢~」もオススメ。トミー・リー・ジョーンズとのコンビが面白い。

丘の一本松 ヘンリー・ハサウェイ
The Trail of the Lonesome Pine
鉄道を巡る開拓劇。橋と爆発の悲劇、何世代にも渡って二大勢力が対立するという図式は後の「大いなる西部」に繋がる要素。

友情ある説得 ウィリアム・ワイラー
Friendly Persuasion
「大いなる西部」よりも好きな作品。
フランク・キャプラ風味のコメディタッチが、後半はシリアスなドラマに変貌していく。南北戦争に翻弄される人々を主軸にした戦争の恐怖と本当の勇気。クーパーの背中で語る演技!
他は「砂漠の生霊」「西部の男等。

レッド・ムーン ロバート・マリガン
The Stalking Moon
ヒューゴ・フレゴネーズ「アパッチ・ドラムズ(アパッチの太鼓)」に並ぶ見えざるアパッチの存在が怖い作品。
異文明の暴動鎮圧に生きてきた者、混血児や彼等と生活を共にした親子との出会い、迫りくる殺戮の恐怖。

リオ・コンチョス ゴードン・ダグラス
RIO CONCHOS
地獄の黙示録の源流の一つである、プロフェッショナルたちが南北戦争の戦場を突き進む戦争活劇。
アパッチといった人種問題との衝突、敵地で荒縄に引き連り回される恐怖、振り回される大剣、ライフルが唸りを上げる銃撃戦。

最後の銃撃(最後の銃𨊥) リチャード・ブルックス
THE LAST HUNT
バッファロー狩りによる環境破壊問題を題材にした作品。
罪の意識に悩む者と殺戮を楽しむかのような者の対比、焼けた銃身を水に冷やして撃って撃って撃ちまくる狂気は「捜索者」に通じ、異文明の女性をめぐる雪の中での決闘。

ハニー・コルダー(女ガンマン) バート・ケネディ
HANNIE CAULDER
キル・ビルの源流の一つでもある復讐劇「ハニー・コルダー(女ガンマン・皆殺しのメロディ)」
イギリスでロケを行いラクエル・ウェルチがエロティックさと復讐を彩る銃撃戦、射撃訓練、銃造り、浜辺での一時、墓穴まで用意する決闘。
他は武装した馬車が荒野を駆ける活劇とガトリングガン&ニトログリセリン「戦う幌馬車」「続・荒野の七人」「夕陽に立つ保安官」「裏切りの国境」「モンタナの西」等。

ララミーから来た男 アンソニー・マン
The-Man-from-Laramie
白人社会に溶け込むアパッチたちとの交易、ライフルを構える不敵な婆ちゃん、岩場での銃撃戦、投げ縄に捕まり引きずり回されようが蘇り復讐の仇を追い続ける執念!

シャロン砦(シャロンの屠殺者) アンソニー・マン
THE LAST FRONTIER
南北戦争を題材にしたヴィクター・マチュアの野蛮な凄み、終始続く異様な緊張、アパッチに取り囲まれる恐怖、野生と軍隊のキリキリした人間関係が面白い。
マンは他にもショショニ族の襲撃や川や密室での息詰まる殺し合いと銃撃戦が冴える開拓劇「怒りの河」、凄まじい「復讐の荒野」、マンの原案をジェイムズ・ニールセンが手掛けた集積所のリフトを巧に利用した銃撃戦と装弾描写「夜の道」等。

ミズーリ横断 ウィリアム・A・ウェルマン
Across the Wide Missouri
ブラックフィートとの交流、チェイス
ウェルマンは他にも西部の人ノワール風味「トラック・オブ・ザ・キャット(血ぬられし爪あと/影なき殺人ピューマ等。

ビッグ・アメリカン ロバート・アルトマン
Buffalo Bill and the Indians, or Sitting Bull's History Lesson
バッファロー・ビルとアニー・オークレイを通してアメリカの歴史に迫る作品。
スー族をはじめとする諸部族に振り回される人々、正体を暴かれていくビルたちの滑稽さ。

アパッチ ロバート・アルドリッチ
Apache
アパッチ側からの視点で描かれ、赤狩りの標的にもなった作品。アルドリッチアクション!

折れた矢 デルマー・デイヴィス/アルバート・マルツ
Broken Arrow
ジョセフ・L・マンキーウィッツ「他人の家」を西部劇に置き換えた作品。
当時赤狩りに苦しめられていた脚本アルバート・マルツによるアパッチたちへの描写。

果てしなき蒼空 ハワード・ホークス
The Big Sky
雄大アメリカの自然を堪能できる開拓劇。
様々な言語が飛び交い通じないことによる混乱と笑い、クロウ族やブラックフット族たちとの交流、殴り合いが深める絆、指の行方。

西部の王者 ウィリアム・A・ウェルマン
Buffalo Bill
異文明との和平と哀しき衝突を描く伝記映画。
冒頭でシャイアンを狙撃し討伐にも協力していたバッファロー・ビルが、徐々にシャイアンたちと打ち解け和平交渉を引き受ける役も買って出るようになっていく。野牛の乱獲による環境破壊、騎兵隊とシャイアン・スー連合との壮絶な戦闘、ワイルド・ウエスト・ショー。

死の砂塵 ラオール・ウォルシュ
ALONG THE GREAT DIVIDE
リンチを題材にした保安官もの。
小屋における銃撃戦、公正な裁判を行わせるために砂漠を突き進み、岩場での待ち伏せ、とことん水にめぐまれない恐怖、もぎとる保安官バッヂ、様々な人間から命を狙われる恐怖。
ウォルシュは他にも拳銃を投げる瞬間の駆け引き「決斗!一対三」、ダークな「賭博の町」、アーヴィング・カミングスが引き継いだトーキー西部劇に初めて響いた音とシスコ・キッド「懐かしのアリゾナ等。

不死身の保安官 ラオール・ウォルシュ
The Sheriff of Fractured Jaw
スペインでロケを行った痛快コメディ。
仕込みデリンジャー、銃を売りさばく商人がいつの間にか保安官になってしまう可笑しさ。

デッドマン ジム・ジャームッシュ/ビリー・ボブ・ソーントン
Dead Man
詩人ウィリアム・ブレイクの詩情に溢れた森を行くロードムービー
汽車、女をめぐる銃撃がもたらす悲劇、追っ手から逃れ続ける逃避行。チェロキーの血を引くジョニー・デップが異文明の旅人と列車で友情を結ぶ。
デップ主演の作品は他に現代劇ですが、西部劇の要素に溢れ命をかなぐり捨ててまで得るもの「ブレイブ」、ラオール・ウォルシュ「追跡」やレオーネ作品へのオマージュが込められたゴア・ヴァービンスキー「ランゴ」等。

旋風の中に馬を進めろ モンテ・ヘルマン
RIDE IN THE WHIRLWIND

後にロボコップのアクションシーンやレザボア・ドッグスの制作を手掛け、ヴィンセント・ギャロやタランティーノ等にも受け継がれる不条理な世界を撮り続けたヘルマンの西部劇。
無実の罪で追われ続け、理由が解らない恐怖からの逃走。

コックファイター モンテ・ヘルマン/ロジャー・コーマン
COCKFIGHTER
闘鶏を扱った西部劇。コーマンが投げ出すくらいのお墨付き(?)作品です。

銃撃 モンテ・ヘルマン
THE SHOOTING
サミュエル・ベケット風味の作品。
砂漠をひたすら進み続け、追っているのか追われているのかワケが解らない。でも面白い。

白昼の決闘 キング・ヴィダー/デヴィッド・O・セルズニック他
Duel In The Sun
ヴィダーを筆頭にウィリアム・ディターレ、ジョセフ・フォン・スタンバーグ、オット・ブラワー、リーヴス・イースンといった複数の監督が牽引して作り上げた2時間40分に渡るメロドラマ。オーソン・ウェルズまでナレーションに参加しているのが興味深い。
父親の発砲事件から運命を狂わされる女の壮絶さ、第二の風と共に去りぬと言われたそのスケールは圧巻。雄大な大地を背景に複雑な人間関係、利権争い、親子、兄弟間の愛情や憎悪を戦後のモダニズムに絡めて描く。混血のヒロイン、血を超えた絆と決別。一人、また一人散っていく命…ラストの決闘は衝撃的。

ダンシズ・ウィズ・ウルブズ ケビン・コスナー
Dances with Wolves
南北戦争を背景にダコタやスー連合との交流・哀しき別れを描く4時間に渡る大作ダンシズ・ウィズ・ウルブズ(ダンス・ウィズ・ウルブズ)
自身もチェロキーの血を引くコスナーのこだわりは捨てがたい。

ホンドー ジョン・ファーロー(ジョン・V・ファロー)/ジョン・フォード
HONDO
一部メキシコで撮影し、孤独な斥候が死闘を繰り広げる作品。
アパッチとの和平が破られてしまった悲劇、拷問、ナイフによる決闘と友情、円陣を組んで迎え撃つ駅馬車を守る戦い。
グレン・フォードのホンドーも見たかったですが、本作の異文明との対立を経て歩みや恋愛を覗かせるジョン・ウェインの演技も素晴らしいです。
他は「荒原の疾走」「カリフォルニア」等。

アラモ ジョン・ウェイン/ジョン・フォード
The Alamo
3時間以上に渡る一大スペクタクル。
アラモ砦の戦いを大胆かつ豪快に描き、対立や人種を超えて結ばれる絆、「ホンドー」での経験を元に描いたとしか思えないメキシコへの憧憬、ナイフさばき、一度に七つの弾丸を浴びせる一斉射撃、押し寄せる大群と死。
後にロン・ハワードが制作し史実に忠実に描いたジョン・リー・ハンコック「アラモ」との比較も面白い。
一回頓挫した企画を再び起こし成功させた作品であり、一回目で書かれた脚本は後にフランク・ロイドのコンパクトにまとめられた「アラモの砦」で活かされます。

メルキアデス・エストラーダの3度の埋葬 トミー・リー・ジョーンズ
The Three Burials of Melquiades Estrada
脚本にアモーレス・ペロスのギジェルモ・アリアガも参加した不思議な作品。
他はTV西部劇「ワイルドメン」等。

勇気ある追跡(トゥルー・グリット) ヘンリー・ハサウェイ
True Grit
銃の代わりに法律を武器にして交渉したり、不良保安官が懸賞金目当てで動くなどかなり人間臭く現代的な味わい。クライマックスを飾る四対一の決闘、ライフルと拳銃の二挺で馬を駆る突撃!
コーエン兄弟&スピルバーグのリメイクと見比べるのも面白い。

アラスカ魂 ヘンリー・ハサウェイ
North to Alaska

勇気ある追跡と供に最もユニークなウェインを楽しめるコメディ。
ゴールドラッシュ、ドタバタしたサロンでの殴り合い、泥まみれの格闘、楽しそうに着替えるキャプシーヌの美しさ!
他はコレもウェインがユニークなオレゴン魂」、怒りの二挺拳銃エルダー兄弟、アパッチが幽霊のように姿を現さない「悪の花園」「森の男」等。

向う見ずの男 ヘンリー・ハサウェイ
FROM HELL TO TEXAS
片手でライフルをさばく凄まじさ、温泉、アパッチとの馬の駆け引きとチェイス、ジョン・フォード駅馬車へのリスペクトを感じさせる馬から馬へ飛び乗り、地面を転がり馬脚を避けるアクション。

フェザー河の襲撃 ゴードン・ダグラス
THE CHARGE AT FEATHER RIVER
「遠い太鼓」に続くウィルヘルムの叫びが響き渡る、シャイアンとの死闘を描く活劇。
戦闘訓練、投げナイフ、岩場を突き進み河を挟んだ迎撃とライフルさばき。

ビリー・ザ・キッド-21才の生涯 サム・ペキンパー/ボブ・ディラン
Pat Garrett and Billy the Kid
パット・ギャレットとビリー・ザ・キッドの奇妙な関係を描く伝記。
常に死と隣り合わせの空気をまとう若者たちの孤独、意表を突く振り向きと決闘、ショットガンの描写、撃ちまくられる弾丸、乾いた殺しの世界。

シルバラード ローレンス・カスダン
Silverado

ジェシー・ジェイムズを描く痛快活劇。
「捜索者」へのリスペクトを感じさせる冒頭。

ロイ・ビーン ジョン・ヒューストン
The Life and Times of Judge Roy Bean

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鬼判事が自らの法律で己の運命を決め、ポール・ニューマンがショットガンを撃ちまくる。

バルベルデ郡てコマンドーバル・ベルデ共和国の元ネタだったりして(んなワケないか)。


カウボーイ デルマー・デイヴィス/エドムンド・H・ノース(ダルトン・トランボ)
Couboy
牧童(カウボーイ)たちの生活を描いたドキュメンタリー・タッチの牛追い映画。
この作品も脚本を手掛けたトランボによる赤狩りへの反撥を密かに示しています。
他に牛追い映画はリチャード・ソープ「復讐の谷」等。

ラスト・サンセット(ガン・ファイター) ロバート・アルドリッチ
THE LAST SUNSET
牛の暴走、たった一度の決闘を描くギリシア悲劇を彷彿とさせる作品。
本作の決闘場面は、セルジオ・レオーネが「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ザ・ウエスト(ウエスタン)」を撮る際に参考にしたそうです。

法律なき町 ジャック・ターナー
Wichita
保安官になる前のワイアット・アープの人物像を描こうと試みた作品。
街を守る者の生真面目すぎるやり方が火種になるという図式は後のワーロック「ガンファイターの最後」にも受け継がれます。
野営地でのトラブルと平手打ちから始まる殴り合い、街中での乱痴気騒ぎが生む火種、死者、牢獄に閉じ込められる無法者連中の苛立ち。
他はロッキー山脈の美しさと降りしきる雨・利用されるスー族の悲劇「キャニオン・パッセージ(インディアン渓谷)」「平原の追跡」「見知らぬ馬乗り(Stranger on Horseback)」「星を持つ男」「硝煙」等。

バッド・カンパニー(夕陽の群盗) ロバート・ベントン
Bad Company
フランソワ・トリュフォーのファンである彼がトリュフォーに捧げたかのようなクレイマー最高の一本。
最初あどけなかった少年たちが、徐々に強盗団に染まっていく恐ろしさ、哀しみ。

スパイクス・ギャング リチャード・フライシャー
The Spikes Gang
強盗、青春、師弟関係。俳優時代のロン・ハワード。
他は牛の群と処刑と殴り合い「フォート・ブロックの決斗」メキシコ革命を舞台に西部劇的魅力に溢れた「叛逆者の群れ」等。

コルドラへの道 ロバート・ロッセン
They Came to Cordura
プレストン・スタージェス「凱旋の英雄万歳!」と供に英雄像の捏造を描いた初期の作品。
メキシコ反乱軍との戦い、複雑な思いにかられる兵士たちの葛藤、歳を重ねたリタ・ヘイワースも大人の色気がムンムンでエロい。

天国の門 マイケル・チミノ
Heaven's Gate
3時間30分に渡りロシア系移民の問題やジョンソン郡戦争といったアメリカの呪われた歴史に挑むチミノの野心作。アメリカ人の逆鱗に触れまくったその勇気、災害と呼ばれたほどの壮大なスケールは圧巻。虐殺シーンと衝撃的な結末。

征服されざる人々 セシル・B・デミル
Unconquered
ラスト・オブ・モヒカンズ」の先駆け。アメリカが独立する前のフレンチ・インディアン戦争を背景に西部開拓民たちの心情、イロコイ連合たちとの交流や対立、クーパーの二挺拳銃、激流下りとデミルらしいスペクタクルが盛り沢山。

大平原 セシル・B・デミル
Union Pacific
大西洋と太平洋を結ぶ大陸横断鉄道の施工を巡って繰り広げられるスペクタクル活劇。
鉄道工事の裏で巻き起こる権力闘争、鉄道を守るために命を賭ける個性豊かな登場人物、冒頭25分を過ぎてから次々と巻き起こる事件、スー連合との死闘、列車と貯水タンクの大激突、荒野と雪原を乗り越えて結ばれる終点。

平原児 セシル・B・デミル
The Plainsman
ワイルド・ビルヒコックやカラミティ・ジェーンを粋に描いた活劇。
前半のシャイアン族たちと政府の間で死の商人として振舞う駆け引き、後半の壮絶な銃撃戦や二挺拳銃の抜き撃ち!とにかく黒衣のクーパーが超カッコ良い。
他はこれもクーパーの拳銃さばきが最高な「北西騎馬警官隊」等。