「浪人街(南光明 版)」より
●代表作
「樋口一葉」、
「憲兵とバラバラ死美人」等
映画監督、脚本家、小説家 等で活躍した並木鏡太郎(並木狂太郎/鏡二郎/各務二郎/金田寅雄/落合眞吉)が影響を受けた・語った・好きだった映画。
●著書「京都花園天授ヶ丘 マキノ撮影所ものがたり」で語っていた主な映画34本
・29本
最後の人 F.W.ムルナウ…老後、リストラ、幻覚
浪人街 マキノ正博(雅弘)他…山上伊太郎/南光明。時代劇、剣戟アクション、スリ、悪徳旗本。助監督として現場でスピーディーな戦闘演出を学ぶ。大林梅子の半裸にもドキドキしたとか
学生五人男シリーズ マキノ正博(雅弘)…東郷久義 版。青春、喧嘩・殴り合い。流れるようなアクション、マキノによる巧みな演技指導を現場で見る
戀の丸橋(恋の丸橋) 勝見黙笑(勝見庸太郎)他…牧野省三。鈴木澄子。時代劇、謀反、夫婦、捕り手、アクション。行方不明
孔雀の二人 沼田紅緑 他…時代劇・幕末、暗殺、冒険。行方不明。撮影現場で市川右太衛門を撮っている様子を見たそうです
追はれ行く人(追はれゆく人々) 悪麗之助 他…西條照太郎。時代劇、事件。行方不明。今作を見て原作と脚色の違い等を研究
喧嘩買兵衛 勝見正義 他…マキノ荘造(牧野省三)/勝見庸太郎。時代劇、町奴たちの対立、アクション。助監督
悪魔の星の下に 二川文太郎 他…マキノ荘造(牧野省三)。時代劇、愛憎の旅、アクション。行方不明。撮影現場を見た映画の一つ
※当時のマキノ撮影所で二川は阪東妻三郎をスターにした監督として最も注目されていた一人。
二川と直接会った際は二川が好きなルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン(ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーベン)「田園」「運命」といった音楽に対するこだわりについて聞かされたとか。
※「忠次旅日記(忠治旅日記)」は第一部「甲州殺陣篇」は1分、
第二部「信州血笑篇」と第三部「御用篇」を合わせた107分(1時間47分)現存。
版によって1時間14分、1時間34分のver.もあり
※「浪人街」は「第一話 美しき獲物」が8分。
現存部分で大林梅子の半裸はほとんど確認できず。
他には「第二話 楽屋風呂 第一篇」と「楽屋風呂 解決篇」を合わせた総集編が72分現存
※山上伊太郎とは「剣鬼三人旅(行方不明)」で組む
※マキノによる1927年の「学生五人男」シリーズは、
1作目「発端篇」監督:富沢進郎
2 〃「爛漫篇」〃 マキノ正博
3 〃「闘争篇」〃 小石栄一&高見貞衛
4 〃「暗黒篇」〃 マキノ
5 〃「恋愛篇」〃 高見貞衛
6 〃「飛躍篇」〃 久保為義&マキノ
の6本。いずれも行方不明
※「戀の丸橋(恋の丸橋)」では助監督見習いとして参加。
撮影現場で牧野省三による演技指導、リハーサルを重ねる立ち廻りの迫力、編集作業を手伝い演出方法、カット割り、編集等を学ぶ
※「追はれ行く人(追はれゆく人々)」は本では「市川小文治」の出演となっていましたが残された情報だと市川小太夫が正しいようです。
また並木の原作(ノンクレジット)を西條が脚色したそうです
※西條照太郎(土屋可義)は並木の友人だった一人。
西條が現場で脚本を書き換えられる悔しさについて述べ、彼の『誰も書き直しのできない、完全な脚本、書きたい。豪い(えらい)監督が、どうか監督さして下さいと、頭を下げるような脚本家になりたいよ』
脚本がすべてだと言う西條、脚本を活かすも殺すも監督次第だと考えるようになる並木
※「悪魔の星の下に」で二川が百面相の如く表情を変え熱心な演技指導をする様を目撃
北本黎吉…脚本家。並木、西條たちの友人の一人だったとか
※帝国ホテル マウリッツ・スティレル(モーリッツ・スティルレル)…見た映画として
外道 マキノ省三(牧野省三)…沼田紅緑/西條照太郎。現代に通じる悪が描かれていたとか。行方不明
河内山と直侍 勝見正義 他…西条章太郎(西條照太郎)/勝見庸太郎。行方不明。監督代理を任されるも片岡千恵蔵と演出をめぐり衝突してしまい勝見プロを辞める
鮮血の手型 沼田紅緑…阪東妻三郎。行方不明
雲母阪 沼田紅緑…阪東妻三郎。行方不明
討たるゝ者(討たるる者) 沼田紅緑…阪東妻三郎。行方不明
※モーリッツ・スティルレル…(マウリッツ・スティルレリ/モーリス・スティルレリ/マウリッツ・スティッレル/マウリッツ・スティレル/モーリッツ・スティラー)
悪魔の哄笑 後藤秋声 他…西條照太郎。行方不明
女と海賊 野村芳亭 他…伊藤大輔/勝見庸太郎。行方不明
坂崎出羽守 勝見庸太郎…行方不明
雁の群 野村芳亭…勝見庸太郎。行方不明
大逆倫 勝見正義 他…西条照太郎。勝見庸太郎が「原田甲斐」を演じる。並木も監督補。行方不明
忠魂義烈 實録忠臣蔵(忠魂義烈 実録忠臣蔵) 牧野省三(マキノ省三)他…マキノ正博/山上伊太郎/西条照太郎/勝見庸太郎。64分現存。今作制作時のマキノ撮影所の熱気、火災といったエピソードについても言及
生ける人形 内田吐夢…行方不明
人生劇場(人生劇場 青春篇) 内田吐夢…数十分現存
沢村傳八…による立ち廻りの稽古。葉山純之輔と竹村春太郎がいがみ合っていた現場も目撃したそうです
・
・不明
二川文太郎…西條照太郎が組んだという作品。
脚本で描かれた新三郎?という人物を二川が変更で出さなかったとか。
1925年頃、7月31日公開の「追はれ行く人(追はれゆく人々)」以前の作品らしいですが西條が二川と組むのはそれ以降の1926年「修羅八荒」シリーズから
・「樋口一葉」以降4本
土 内田吐夢…現在結末部分が欠落
歴史シリーズ 内田吐夢…行方不明
血槍富士 内田吐夢
・
・その他俳優2名
鈴木傳明
南光明
・その他俳優4名
※今書に出てきた映画人の中には、ほぼ無名で映画史にその名を刻んでいない者も多数いたとのこと。
嵐富右衛門…俳優。「喧嘩買兵衛」で知り合う。彼から助監督の心得、彼のススメで所内各部スタッフと親交を深めるキッカケになったとか
久米富助…上に同じ
東路晴子…俳優。西條が想いを寄せていた女性だったとか
覺榮子(覚栄子)…俳優。演技が上達する手っ取り早い方法は無いかと詰め寄られ意見を交わす
・
・漫才師
チャップリン&ウグイス(日本チャップリン・梅廼家ウグイス/新馬鹿大将・梅廼家鶯)
・芝居6つ
法界坊(隅田川続俤) 奈河七五三助
お里澤市壺坂霊験記(壺坂霊験記) 加古千賀
辯天小僧濱松屋(弁天小僧浜松屋)…恐らく河竹黙阿弥「青砥稿花紅彩画(白浪五人男)」の弁天小僧が登場する浜松屋の場面。いわく『石川五右衛門が忍術で、大坂城(大阪城)で盗んだ宝物を入れた葛籠を背負って宙吊りに舞い上がり、客席の上を宙吊り六方で横断』
酒屋の段、艶姿女舞衣(艶容女舞衣)…恐らく竹本三郎兵衛「艶容女舞衣」の構成三段目「酒屋」。お國(お園)のさわりを学校でやって先生に怒られたとか
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・本24冊
真田十勇士もの…家康
猿飛佐助もの…家康
湯島詣 泉鏡花
松蘿玉液 正岡子規…引用
東都新繫盛記(東都新繁昌記) 山口狐剣…引用
日和の下駄(日和下駄/日和下駄全) 永井荷風
明暗 夏目漱石
新生 島崎藤村
おかめ笹 永井荷風
友情 武者小路實篤(武者小路実篤)
ある男(或る男) 武者小路實篤(武者小路実篤)
鼻 芥川龍之介
風姿花傳(風姿華傳) 世阿彌(世阿弥)…古典演技の参考
我想う、故に我あり(我思う、ゆえに我あり)…という記述のあった本。神田の古本屋(1920年代)で見たそうです
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・不明
ベェーカー…の美術論
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