「ルパン三世」シリーズ作画紹介②

ルパン三世 2nd(新ルパン三世)」について

前回は「1st」からの参加者を紹介しましたが、今回は「2nd(新ルパン三世)」からの参加者を紹介。
 
「1st」初期から演出助手を務めていた御厨恭輔がメイン演出で序盤を支え、
大隅正秋が引き込み脚本を手掛けた大和屋竺が途中からシリーズ構成、
「1st」から裏方として文芸(脚本制作担当)を支えた飯岡順一が大和屋と共に構成、
絵コンテ・演出に吉田しげつぐ(吉田茂承)を筆頭とする手堅いメンツ、
 
大和屋の師匠で無国籍アクションの傑作を撮り大隅たちに影響を与えた鈴木清順が監修として「2nd」の世界観を創っていきます。
 
前作のユーモア、お色気、時折見せるハードな一面をさらにパワーアップさせ、パロディまで何でもありのてんこ盛り。色んな話を楽しめるバラエティ豊かなものに。
 
その何でも出来た環境で作監・原画たちの持ち味も爆発していき、東京ムービーを中心に個性豊かなスタッフが集まっています。

●主な作画監督4名

北原健雄
1話
 
シティーハンターでも紹介した東京ムービーを代表する凄腕。
今作ではキャラクターデザイン及び総作画監督
御厨が演出に参加していた元祖天才バカボンの作画を芝山から引き継ぎそのまま「2nd」に参加、長期シリーズを支えることに。
親しみやすさを押し出したとっつき易い絵柄、家族の団らん地味たほんわかムードからキメる時はキメる大人のカッコ良さ。お色気とユーモアも抜群。
長期化に伴い、中盤落ち込み気味だった作画面を支えるためテレコムから彼らが手掛けた作画が届くように。
それのチェックを行った北原は尋常じゃない枚数の自分がデザインしたものと違う顔をしたルパン一味を見て困惑したことでしょう。
ただでさえ青木悠三キャラデザ通り描いてくれないのに。
オマケに本編よりクオリティが高く番組が喰われる可能性も。何もかも藤岡が悪い。
ここに北原vsテレコムによる作画抗争が勃発。
72話は北原・大塚・丹内キャラが入り乱れ作画がチグハグになり、77話は良い塩梅にそれぞれの良さが出て、回が進むごとにクオリティ殺人的な作画枚数に磨きがかかる。
特に99話終盤、143話でとうとう修正を諦めることに。
後に北原はシティーハンター総作監として作画の安定に貢献しますが、素晴らしい作監の個性は尊重し伸ばすやり方は「ルパン」シリーズでの経験も活かされているのではないでしょうか。
同時に、総作監を置かず放置すると無法地帯になるということも「PARTⅢ」を見て強く思ったことでしょう。
児玉兼嗣(こだま兼嗣/宮本清司)
17話
18話
17話
 
東京ムービーで活躍していたアニメーター。
1話から原画に参加、北原と共に「2nd」の作画を支える。
北原の弟子的存在で彼と共に新生ルパンの世界観を創ったと言えましょう。
元祖天才バカボンでは原画として北原とよく組み、侍ジャイアンツでは大塚が外されてしまった現場で原画・作画を支える。
そんな大塚が指導するテレコム回との戦いも北原と共に激戦(修正)を繰り広げます。
その後「PartⅢ」で絵コンテ・演出も手掛けることに。
他作画ルパン三世 2nd、監督シティーハンター名探偵コナン等。
朝倉隆
23話
19話
23話
23話
 
「1st」の頃から原画に参加、今作でも1話より原画。
テレコム回が増えるにつれ、その影響か朝倉も終盤152話はテレコムっぽいタッチに。
143話
99話
143話
 
名探偵ホームズでも紹介した大塚の弟子。
本作ではOHプロの原画マンとして13話から数々の良作画・良アクションが見れる回でちょくちょく活躍。劇場版ルパン三世 ルパンVS複製人間の原画にも参加。
テレコムに移ってからは作画監督に抜擢されます。
テレコム代表として異常なまでに描き込まれた背景、群衆、ぬるぬる動く作画と全力投球な回を連続で叩き出す。
...ものの北原デザインと顔が違いすぎて受け取りを拒否られる騒ぎに(「1st」の大塚の如く次元の髪がもっさり増加、鼻の高さがかなり低くなる、銭形と五右衛門のイケメン化。
不二子よりも五右衛門の方が艶があったり
そんな北原たちと丹内の壮絶な激闘振りが伺える99話の傑作回「荒野に散ったコンバットマグナム」(テレコム+吉田+大和屋!)は必見。
宮崎駿が演出を依頼され偽名で参加した145話「死の翼アルバトロス」、155話「さらば愛しきルパン」も超傑出回なんですが方向性が違いすぎて完全に別のアニメです(誉め言葉)