<span itemprop="headline">「トイ・ストーリー3」-最高の贈り物</span>


Toy Story 3
★★★★(傑作)

トイ・ストーリーシリーズ最高の面白さ、寂しくなる締めくくり。

だってさあ…どのシーンを見ても泣きそうになっちゃうっていうのに、アンディのあのセリフ動作(アクション)でいっつも泣いてしまうんですよ。


御馴染みの面々が縦横無尽に画面を駆け巡るファースト・シーンは、やがて来る寂しさを微塵も感じさせないほど楽しいものでしたが。

西部劇さながらのアクション、ジョン・ラセターが愛してやまないバスター・キートン「将軍(大列車追跡)」の如く広大な荒野を駆け抜ける列車、車上で繰り広げられる格闘、落ちた先で待ち受けるもの、橋が爆破されりゃ追い付き、飛び乗り、レバーを引き、光り輝き持ち上げてしまう何でもありの夢の空間。
空を飛んだり、バリアを張ったり、カウガールが叫べば地中からモンスターが出たり、空中に巨大な船が出現したり、炸裂したものが押し寄せ、プレストン・スタージェスサリヴァンの旅を思い出すユニークな仕掛けまで用意して存分に楽しませてくれます。

フルCGのアニメーション世界の奥の奥、画面を破壊し空間の底から飛び出してくるようなダイナミックさ。もはや次元の壁が無い世界を無限に突き進むようなエネルギーに満ちています。

そんな楽しい夢は永遠に見続けられない。ビデオの映像を通して語られるアンディの、今までのトイストーリー」がそのことを予感させるのです。

おもちゃたちの間では生物のように動き回る彼ら、人間の前では動いてはならないという暗黙のルール、宿命。
彼等はその宿命から逃れられるか、あるいは宿命に身をゆだねるのか。成長し、歳をとり、選択の時が迫るウッディとアンディたち。

扉を開ければ、いつもそこにあった光景

何時だったか、モリーがおもちゃの動く姿を目撃した場面がありました。「3」では彼女がキーパーソンになるのかな…なんて初代や「2」を見ていたあの頃の私は思っていましたっけ。
彼等だって本当は同じように触れ合い話し合いたい、いつかその日が来るのではないかとひたすら待ち続けてきたのではないでしょうか。人が変わっていけるなら、自分たちだって…。

そう、もうあの頃と同じ子供じゃいられない。おもちゃたちにとっても分かれ道。他の仲間達は既に多く旅立っていってしまったようです。
数の減った軍曹たちの姿が寂しい。ボー・ピープや羊、バギーたちの姿も見たかったなあ…。でも陶器のボーが幼稚園児たちに蹂躙される様を見ずに済んだのはせめてもの救い。きっと元気にやっていますよね…きっと。

おもちゃである彼等にとって、生きるも死ぬも子供次第。それを知らない子供たちが、扉を開けた瞬間に押し寄せてくる場面の何と恐ろしいことか。

そびえるように大きく見える扉が余計に怖い

対しておもちゃたちが傷つかないようにクッションを引いたり、こっそり屋根裏に持って行こうとするなど最後までおもちゃたちの事を気にかけるアンディの優しさ。

アンディと幼稚園の子供達の扱いの差は天国と地獄。ウッディは最初のトイ・ストーリーで似たような地獄を目の当たりにしていますからねえ。彼はその時の恐怖を覚えているから余計に怖い。

離れ離れになっていく仲間、最後の試練と言わんばかりに襲い掛かる冒険・地獄の連続、レディポテトの眼が起こす“奇跡”、憎めないロッツォたちの過去、トトロ(も大好きラセター)、まめしば?もゲスト出演、スリリングな脱出と帰還、ありがとうトイレの鏡の汚れ、仲間のために何度でも戻って来る者の姿はなんでこんなにもカッコ良く、何処か寂しげな表情をするのでしょう。

そこには、ウッディの原型とされるジョン・ウェインの孤独と哀愁・頼もしさも受け継がれ生き続ける。

バズもブッ壊れたりスペイン語で踊り狂おうが最後の最後でキメてくれるナイスガイです。バズにとっては、宇宙の戦士として生きる方がもしかしたら幸せだったのかも知れない。ただ、呪われた宿命(設定)ではけして得られない、かけがえの無い仲間ともめぐり逢えたのではないでしょうか。

監獄からの脱出、情報を集め風に乗って飛んでいく潜入、燃え盛る焔が語る絶望的な状況、死を覚悟してみんなが視線を交わし、静かにうなずき、手を伸ばし引き合い繋ぎ合う瞬間!その時のウッディたちの顔が凄く悲しそうで…。永遠に存在し続けるんじゃないかと思っていた彼等が壊れ、消え、生き物のように“死”迫り来る瞬間。ウッディたちにもがあるということを改めて思い出す場面でもあります。


リトル・グリーン・メン、君たちこそ本当の“神様”だ!同じく飲み込まれ流されていった“アイツ”の末路は救いがある方。誰にも見つけてもらえないことの方がよっぽど不幸なのかも。

そんでもってラストの“譲る”シーンなんてもう…。
大事そうに何かを抱えて向かう先、母親の後ろから見つめる視線、それに優しい眼差しで応え、しゃがんで子供の視線に合わせ、抱えていたものを開け、あの頃と同じ気持ちで一つずつ“紹介”していく。
地面を覆っていく想い出を渡して、渡して、渡して。立ち上がり駆け寄り中を覗き込んだ先にあるものは、一番のたからもの。いつも何も言わずに、静かに微笑み続けていてくれた一番の親友。
「僕のおもちゃだよ。レックス、バズ、ウッディ。レックスは強いんだ。コイツがいれば安心だよ。バズは立派だよ。強い意志を持った宇宙の英雄さ。ウッディは…楽しい…奴だよ…とっても誠実で…優しい…最高の…最高のカウボーイ…なん…だ…」

あの頃には二度と戻れない。でも、何時でも思い出すことが出来る。彼等や私たちの記憶の中で生き続けるのだから。

遠くに消えていく者に起き上がり送られる視線、晴れ渡った空が語るもの。