フランスを代表する映画雑誌「カイエ・デュ・シネマ(Cahiers du cinéma)」2008年11月号に掲載された「史上最高の映画100本(理想的なシネマテークのための映画100本)」と「史上最高の映画監督50人」のリストをUPしてみました。
78人の批評家の投票で決まったそうです。リストの数字が重複しているのは、恐らく同票だったからだと思われます。
なお、作品名/作家の下記に個人的な備考を掲載しておりますのであくまで参考としてお受け取り下さい。
なお、作品名/作家の下記に個人的な備考を掲載しておりますのであくまで参考としてお受け取り下さい。
「カイエ」の評論家たちも一枚岩ではありません。作品によって評価が違う監督もいますし、監督よりも作品に関わった俳優・キャメラマン・脚本家といったその他スタッフを評価する場合も。
バザンたちにしても初期から評価している作家もいれば、後年になって再評価が進んだ作家もいます。
バザンたちにしても初期から評価している作家もいれば、後年になって再評価が進んだ作家もいます。
●史上最高の映画100本(100 films pour une cinémathèque idéale)
編集にロバート・ワイズも参加。
ウェルズは監督だけでなく俳優としても高い評価を得ています
脚本にジェームズ・エイジー(ジェームズ・アギー)も参加。
唯一の監督作「狩人の夜」は元より、俳優としても評価が高い
5:アタラント号 ジャン・ヴィゴ
フランス。
フランス。
後に「十二人の怒れる男」「波止場」等を撮るキャメラマンのボリス・カウフマンと組んだ伝説的な作品の一つ。最初期に編集されたver.の頃から評価していた者もいますが、現在は後年ほぼ完全な状態で修復されたフィルムが現存
6:M(エム) フリッツ・ラング
ドイツ時代のラングを代表する一本。
ドイツ時代のラングを代表する一本。
7:雨に唄えば スタンリー・ドーネン他
ジーン・ケリー。アメリカ
8:めまい アルフレッド・ヒッチコック
アメリカ
アメリカ
9:天井桟敷の人々 マルセル・カルネ
フランス。
フランス。
カルネが長年コンビを組んだ脚本家ジャック・プレヴェールとの代表作の一つ
9:捜索者 ジョン・フォード
アメリカ。
アメリカ。
制作にメリアン・C・クーパーが参加したフォードの代表作の一つ。
フォードに対してバザンはあまり評価せず(代わりにウィリアム・ワイラーを積極的に擁護)、ゴダール等が「捜索者」を中心に晩年のフォードを評価。現在最も再評価が進んだ作家の一人と言えましょう
9:グリード エリッヒ・フォン・シュトロハイム
アメリカ。
アメリカ。
監督だけでなく俳優としても高い評価を受ける。現在短縮されたver.のみ現存
12:リオ・ブラボー ハワード・ホークス
アメリカ。
アメリカ。
ホークスも後期は「リオ・ブラボー」か「ハタリ!」かで評価が割れることがありますが、前期の作品を中心にプロデューサーとしても高い評価を受けているそうです
12:生きるべきか死ぬべきか エルンスト・ルビッチ
ドイツで活躍していたルビッチがアメリカで撮った代表作の一つ
ドイツで活躍していたルビッチがアメリカで撮った代表作の一つ
助監督に今村昌平が参加
15:軽蔑 ジャン=リュック・ゴダール
フランス。
フランス。
晩年のフリッツ・ラングが出演
16:街の灯 チャールズ・チャップリン
アメリカ
アメリカ
キートンがよく組んだ脚本・監督のクライド・ブラックマンとの代表作の一つ
16:吸血鬼ノスフェラトゥ F.W.ムルナウ
ドイツ時代のムルナウを代表する一本
ドイツ時代のムルナウを代表する一本
16:音楽ホール(音楽サロン) サタジット・レイ
インド
インド
21:フリークス(怪物團) トッド・ブラウニング
アメリカ
アメリカ
21:大砂塵 ニコラス・レイ
アメリカ
アメリカ
21:ママと娼婦 ジャン・ユスターシュ
フランスのポスト・ヌーヴェルヴァグの一人であるユスターシュを代表する一本
フランスのポスト・ヌーヴェルヴァグの一人であるユスターシュを代表する一本
24:独裁者 チャールズ・チャップリン
アメリカ
アメリカ
24:山猫 ルキノ・ヴィスコンティ
イタリア。
イタリア。
ヴィスコンティも作品によって評価が分かれる一人。「山猫」よりも「夏の嵐」を評価する人も
24:二十四時間の情事(ヒロシマモナムール) アラン・レネ
フランス人のレネが日本を舞台にしたフランス・日本合作映画。脚本にマルグリット・デュラス、撮影に高橋通子が参加
フランス人のレネが日本を舞台にしたフランス・日本合作映画。脚本にマルグリット・デュラス、撮影に高橋通子が参加
24:パンドラの箱 G.W.パプスト
ドイツ
ドイツ
24:スリ(掏摸) ロベール・ブレッソン
フランス
フランス
30:肉体の冠 ジャック・ベッケル
フランス。
フランス。
30:裸足の伯爵夫人 ジョセフ・L・マンキーウィッツ
アメリカ・イタリア合作映画。
アメリカ・イタリア合作映画。
作品によって評価が分かれる作家の一人
30:ムーンフリート フリッツ・ラング
アメリカ時代のラングが撮った一本
アメリカ時代のラングが撮った一本
30:たそがれの女心 マックス・オフュルス
オフュルスがフランス帰国時代に撮ったフランス・イタリア合作映画。
オフュルスがフランス帰国時代に撮ったフランス・イタリア合作映画。
俳優としてヴィットリオ・デ・シーカも出演
30:快楽 マックス・オフュルス
オフュルスのフランス帰国時代
オフュルスのフランス帰国時代
36:情事 ミケランジェロ・アントニオーニ
イタリア
イタリア
36:戦艦ポチョムキン セルゲイ・エイゼンシュテイン
ロシア
ロシア
36:汚名 アルフレッド・ヒッチコック
アメリカ
アメリカ
43:ファニーとアレクサンデル イングマール・ベルイマン
スウェーデン・フランス・西ドイツ合作
スウェーデン・フランス・西ドイツ合作
45:8 1/2(オット・エ・メッツォ) フェデリコ・フェリーニ
イタリア
イタリア
45:ラ・ジュテ クリス・マルケル
フランス
フランス
45:気狂いピエロ ジャン=リュック・ゴダール
フランス・イタリア合作。
フランス・イタリア合作。
サミュエル・フラーも出演
45:とらんぷ譚 サッシャ・ギトリ
フランス
フランス
50:アマルコルド フェデリコ・フェリーニ
イタリア・フランス合作
イタリア・フランス合作
50:美女と野獣 ジャン・コクトー
フランス。
フランス。
制作にルネ・クレマンも参加
また監督としてもコメディかミステリーか、あるいは戦争系かと意見が分かれているみたいですね
50:キング・コング メリアン・C・クーパー他
アーネスト・B・シュードザック。アメリカ。
特撮にウィリス・オブライエン、制作にデヴィッド・O・セルズニックも参加
ルーベン・マムーリアンから制作を引き継ぐ
作品によって評価が分かれる一人。「七人の侍」よりも「隠し砦の三悪人」「用心棒」、バザン等「羅生門」「生きる」を評価する場合も
58:大人は判ってくれない フランソワ・トリュフォー
フランス。バザンの弟子の一人にしてヌーヴェルヴァーグを代表するトリュフォーの長編デビュー作。
58:大人は判ってくれない フランソワ・トリュフォー
フランス。バザンの弟子の一人にしてヌーヴェルヴァーグを代表するトリュフォーの長編デビュー作。
58:甘い生活 フェデリコ・フェリーニ
イタリア
イタリア
ヒューストンも脚本家時代や作品によって評価が分かれる作家の一人。俳優としての評価も高い
58:素晴らしき哉、人生! フランク・キャプラ
作品によって評価が分かれる作家の一人
作品によって評価が分かれる作家の一人
65:勝手にしやがれ ジャン=リュック・ゴダール
フランス。
フランス。
ジャン=ピエール・メルヴィルやクロード・シャブロルといったヌーヴェルヴァーグに深く関係する人間が多数参加したゴダールの長編デビュー作
65:バリー・リンドン スタンリー・キューブリック
イギリス
イギリス
俳優としてシュトロハイム、トッド・ブラウニング、フランク・ボーゼージ(ボザージ/ボザーギ)、W・S・ヴァン・ダイク(ウッドブリッジ・ストロング・ヴァン・ダイク)等が出演
65:ピクニック ジャン・ルノワール
フランス時代のルノワールを代表する一本。
フランス時代のルノワールを代表する一本。
助監督にベッケルやヴィスコンティ等が参加
65:プレイタイム ジャック・タチ
フランス
フランス
65:無防備都市 ロベルト・ロッセリーニ
イタリア。
イタリア。
フェリーニも脚本に参加
65:夏の嵐 ルキノ・ヴィスコンティ
イタリア。
イタリア。
助監督にフランチェスコ・ロージとフランコ・ゼフィレッリが参加
65:モダン・タイムス チャールズ・チャップリン
アメリカ
アメリカ
76:めぐり逢い レオ・マッケリー
アメリカ。脚本にデルマー・デイヴィスも参加
アメリカ。脚本にデルマー・デイヴィスも参加
76:トーク・トゥ・ハー ペドロ・アルモドバル
スペイン
スペイン
76:パーティ ブレイク・エドワーズ
アメリカ
アメリカ
ドキュメンタリー作家のロバート・フラハティも参加
76:バンド・ワゴン ヴィンセント・ミネリ
アメリカ
アメリカ
ウィリアム・A・ウェルマン版のリメイク
撮影にハスケル・ウェクスラーも参加。
アメリカで活躍したカザンもまた作品によって評価が分かれる作家の一人
86:エル(Él) ルイス・ブニュエル
メキシコ時代のブニュエルを代表する一本。
メキシコ時代のブニュエルを代表する一本。
ブニュエルはフランス時代よりもメキシコ時代の評価が圧倒的に高いようです
86:陽は昇る マルセル・カルネ
フランス。
フランス。
プレヴェールとのコンビ作の一つ
86:ローラ ジャック・ドゥミ
フランス・イタリア合作
フランス・イタリア合作
86:マンハッタン ウディ・アレン
アメリカ。
アメリカ。
作品によって評価が分かれる作家の一人
86:マルホランド・ドライブ デヴィッド・リンチ
アメリカ。
アメリカ。
評価する人としない人に分かれる作家の一人
86:モード家の一夜 エリック・ロメール
フランス。
フランス。
ヌーヴェルヴァーグを代表する作家の一人
86:夜と霧 アラン・レネ
フランス。助監督としてクリス・マルケルも参加
フランス。助監督としてクリス・マルケルも参加
86:黄金狂時代 チャールズ・チャップリン
アメリカ
アメリカ
86:自転車泥棒 ヴィットリオ・デ・シーカ
イタリア
イタリア
86:ナポレオン アベル・ガンス
フランス
フランス
●史上最高の映画監督50人(50 meilleurs réalisateurs selon les cahiers du cinema)
3:フリッツ・ラング
5:ジョン・フォード
9:F.W.ムルナウ
10:ハワード・ホークス
11:フェデリコ・フェリーニ
13:エルンスト・ルビッチ
14:ルキノ・ヴィスコンティ
14:ロベール・ブレッソン
16:溝口健二
17:黒澤明
18:マックス・オフュルス
19:アラン・レネ
20:カール・テオドア・ドライヤー
21:フランソワ・トリュフォー
23:ヴィンセント・ミネリ
23:ロベルト・ロッセリーニ
29:マルセル・カルネ
30:ビリー・ワイルダー
30:バスター・キートン
32:小津安二郎
34:ジョン・ヒューストン
35:エリア・カザン
36:キング・ヴィダー
36:D.W.グリフィス
38:モーリス・ピアラ
39:ジャン・ヴィゴ
40:ニコラス・レイ
41:ジャック・ベッケル
41:ウディ・アレン
43:ジャック・ドゥミ
43:チャールズ・ロートン
46:ジャック・タチ
47:オットー・プレミンジャー
47:レオ・マッケリー
49:ジョージ・キューカー
49:ラオール・ウォルシュ