暴虐工廠
★★★★(傑作)
ある男がベッドで起き上がり、もう一人の男と共に一人の中年?女性を尋問する場面。
「同士の名前を吐け!」しかし彼女は同士どころか共謀すらした事も無いという表情。
アラン・レネ「夜と霧」でも感じた事ですが、このドキュメンタリー風の作品もまた「拷問をした」というありのままの事実・様子を映像で再現したという感じ。
仲間の名前を書くように脅し、ドア付きの本棚?に頭を突っ込んで本棚の上から赤錆びた鉄の塊をガンガンガンガン打ち付ける様子。
「吐かなければ次は“頭”だ」と言いたげに何度も何度も打ち付ける場面は狂気を感じます。
まるでドキュメンタリー映画を見るような生々しさは、「鉄西区」といったドキュメンタリーを撮ってきたワン・ビンの眼差しというものがあるのでしょう。
「吐かなければ次は“頭”だ」と言いたげに何度も何度も打ち付ける場面は狂気を感じます。
まるでドキュメンタリー映画を見るような生々しさは、「鉄西区」といったドキュメンタリーを撮ってきたワン・ビンの眼差しというものがあるのでしょう。
女性は悲鳴を挙げながらも必死に抗っている。彼女は頭からマスクを被されて何処かに連れていかれる。
連れて来られた場所には、既に“先客”が真っ裸にされ背中に水をかけられ“洗浄”されていました。それが彼なのか彼女なのかは解らない。ですが、ついさっきまで同じ人間だったのでしょう。
さきほどのの女性は吊るし上げられ、脚を棒で打たれたり男に腹を殴られたりしています。
実際の文革もこれ以上に残虐な事を同じ国の人間にしていたでしょうか・・・そう思うと、人間て生物は本当に野生で殺し合う他の生物と何も変わらないと改めて思い知らされます。
冒頭で登場したリーダーらしき男がまたベッドに横たわる時、レコードの逆再生の音が不気味に響き渡る。
そんな事があったのかと、工場を解体する人々も思っているのかつゆ知らずか。
。この作品も、わずか15分ながら彼が描き・捉え続けてきた中国の根深い闇を垣間見れる作品の一つ。
ちょっと怖い映画でしたが、なるべく多くの人に見て貰いたいです。